「酒」といえば・・・
こんにちは。新潟出身、京都在住の筆者です。
お酒、お飲みになりますか?
お酒といってもビール、ウィスキー、焼酎、ワイン…いろいろありますね。
私の中では「酒=日本酒」です。
日本の酒と書いて日本酒。
私の父は左党でしたが(存命です、念のため)いつも日本酒をちびりちびりと飲んでいる姿が印象的なので
酒呑みといえば日本酒の一升瓶を抱えているイメージなんです。
若い頃はビールやカクテルばかりで日本酒なんてオジサンの飲み物だと思って避けていた私もいいトシになり
日本酒をたしなむようになりました。
そもそも新潟県産日本酒って?
父がいつも日本酒を飲んでいたのは、それがオジサンの飲み物だったせいもあるでしょうが、
身近に美味しいお酒がたくさんあったからだと思います。
都道府県別日本酒の生産量ランキング(2017年実績)
1位…兵庫県(全国シェア27.6%)
2位…京都府(全国シェア16.6%)
3位…新潟県(全国シェア8.8%)
4位…秋田県(全国シェア3.9%)
5位…埼玉県(全国シェア3.7%)
酒処と呼ばれる土地は全国いたるところにありますが、新潟県は堂々の3位にランクインしています。
生産量が多いということは、それだけ多くの人に飲まれているということで、嬉しくなります。
蔵元の数でいうと新潟県の軒数は90軒と全国1位に躍り出ます。
そして1人あたりの消費量ランキングでは
1位…新潟県(11.90リットル)
2位…秋田県(7.98リットル)
3位…山形県(7.05リットル)
なんと1位です。
ちなみにワースト3は
47位…沖縄県(0.85リットル)
46位…鹿児島県(0.94リットル)
45位…宮崎県(1.77リットル)となっています。
沖縄県は泡盛、鹿児島と宮崎は焼酎の生産で有名ですね。
気候や風土に合った作物を作り、生産物をいただくというのが自然なことだと思います。
新潟県産日本酒の特徴
「灘の男酒」という言葉を聞いたことはありますか?
兵庫県の硬水で仕込み、短い期間で強く発酵させることでやや酸味の強い辛口のお酒となっています。
貯蔵によって丸みが出て飲みやすくなりますが、新酒の荒々しさから男酒とよばれています。
一方、ミネラル分の少ない軟水で仕込み、長期間かけて発酵させ酸味が少なく甘口のそれは「女酒」と呼ばれており、伏見のお酒がその代表です。
日本酒の原料となるのは水・米・麹・酵母。
どこでも同じです。
造られる土地によってその味わいの特徴が異なってくるのは面白いと思いませんか?
さて、新潟のお酒はどんなお酒なのでしょう。
新潟県産の日本酒の美味しさの秘密
それは米と水と気候です。
新潟県はいわずと知れたコメどころです。越後平野に延々と広がる田園風景はそれは見事です。
お酒を造るのに適した品種のお米の開発も進んでいます。
水に関しては豪雪地帯ですので、雪解け水による豊富な地下水や山から流れるミネラル豊富な軟水に恵まれています。
また、雪国というわりに夏の気温は高めで、稲が成長する頃には晴天続きで気温が上がり(良いお米がたくさんできます)、
冬にはまたぐっと気温が下がるという、人間が暮らすには過酷な土地なのですが、酒造りにはそれがまたいいそうです。
そして日本酒は酵母を発酵させて造るので雑菌が少ない方が質の良いものなります。
低い温度の中でゆっくりと発酵を進めることによって雑味の少ない、すっきりとした味わいのお酒になります。
新潟産日本酒の魅力
新潟県の日本酒の特徴は一言でいうと「端麗辛口」です。これまで長い間、日本酒の主流は甘くて濃いお酒でした。
ところが近年は、甘みと酸味が少なくさっぱりとした飲み口に指向がシフトしています。久保田、八海山、越乃寒梅などは誰もが聞いたことのある銘柄でしょう。これらはどれも新潟のお酒です。
日本酒の分類
新潟県は全国一の酒蔵数を誇り、酒造りは地元を代表する産業のひとつです。特徴的なのは、大吟醸、吟醸、純米、本醸造といった高品質なお酒の割合が多いこと。
生産の6割をそれらが占めるそうです。ビールでもプレミアム感漂う銘柄に人気があるように、日本酒もまたプレミアム志向に移ってきています。
日本酒は醸造アルコールを使っているかどうか、また精米歩合がどのくらいかによって呼び方が変わってきます。
「醸造アルコール」とはサトウキビなどを原料とした蒸留酒で、純度が高く無味無臭です。お酒の味や香りを立てたり丸みを持たせたりするといった特徴があります。
「精米歩合」とは米を削った後に残った割合のこと。なぜお米を削るかというと、お米にはアルコールのもとになるデンプンの他にたんぱく質や脂質も含まれているからです。
たんぱく質や脂質は旨味でもありますが、多すぎると雑味の原因となったり香りの邪魔をしたりします。そこでそれらが多く含まれているお米の外側を削ってなるべく純粋なデンプンを残し、すっきりとした酒質にしようとします。
精米歩合が低い方が当然価格は高くなりますが、いちがいに精米歩合が低いお酒が良い日本酒酒なのかというとそうでもなくて、
好みの問題になります。精米歩合が低い方はすっきり澄んだ味になり香りはフルーティ、精米歩合が高い方はどっしり芳醇な味で、ほのかに炊きたてご飯に近い香りがします。
ちなみに白米として食べるための精米は10%程度になります。
それでは日本酒を種類分けしていきましょう。
純米酒
まず、米、米麹、水だけで作るのが「純米酒」です。
旨味やコク、ふくよかさが味わえて、比較的濃くて芳醇なタイプです。
吟醸純米酒
お酒造りでは精米歩合60%以下(お米を40%以上削ったもの)にたくさん磨いたお米を低い温度(5~10度)で長期間(およそ30日以上)発酵させたものを「吟醸造り」といいます。
吟醸造りにすると価格は高くなりますが、香りが良くなりお酒の質はさらりとしてきます。
吟醸造りの純米酒を「吟醸純米酒」と呼びます。
大吟醸純米酒
吟醸純米酒より精米歩合をさらに低くして、50%以下(お米を50%以上削ったもの)で作ったものを「純米大吟醸酒」と呼んでいます。
香りが高くすっきりとした味わいになります。
本醸造酒
米麹と水、精米歩合70%以下(30%以上のお米を削ったもの)にした酒米を用い、そこへ醸造アルコールを加えたものが醸造酒と呼ばれ、
精米歩合70%以下(30%以上のお米を削ったもの)したものは「本醸造酒」と呼ばれます。
吟醸酒
本醸造酒と作り方は同じですが、精米歩合を低くして60%以下(40%以上のお米を削ったもの)で作ったお酒は「吟醸酒」となります。
純米酒に近い香りと風味ですが、純米よりも淡麗でまろやかな口あたりになってきます。
大吟醸酒
吟醸酒より精米歩合をさらに下げて50%以下(50%以上のお米を削ったもの)にしたもの。
吟醸造り特有の香りと色味が良好となります。
醸造アルコールを添加する目的は増量ではなく発酵中の酵母に影響を与えておいしいお酒にするためなので、使われる量は少なく、日本酒としての質が低下するわけでもありません。
より新潟県産日本酒を楽しみたい!日本酒の飲み方例
日本酒の飲み方
日本酒の飲み方は、冷と燗の二種類あります。
冷はそのままか冷蔵庫や氷でより冷やして。
吟醸酒などのフルーティでキリリとしたお酒に向いています。
熱燗は温めることで香りが高くなり味わいも増すので、純米酒などのどっしりしたお酒が向いています。
燗をするときは直火ではなく湯せんでゆっくりと。
最近の電子レンジは熱燗コースもありますので40℃から55℃に設定できるそちらを利用するのも良いでしょう。
日本酒にあうおつまみ
日本酒にあうおつまみはやはり日本食、和食でしょう。
炭酸の含まれた飲み物は揚げ物の油っぽさを流してくれますが、日本酒はそれに比べて濃度が高く、アルコール度数も高いので、
進む杯のスピードが違います。
また糖度も高いので、お料理に求めるものはパンチよりも、滋味深くあっさりしたものの方が合うように思います。
日本酒にあう料理の筆頭は魚介類だと思います。
おつまみのことを「酒のサカナ」といいますが、もともとはお酒を飲むときに添えて食べるものとしての「酒菜」が「肴」になり、魚介類が多かったことから「サカナ」と呼ぶようになったそうです。
私のおすすめはシンプルな刺身や焼き魚。
素材の旨味をしみじみと感じながらゆっくりとお酒をいただきたいものです。
二日酔いにならないためのおつまみ
また、お酒を飲むと気になるのは二日酔い。
アルコールを肝臓で分解する酵素はたんぱく質から作られるので、たんぱく質の補給が大切になってきます。
ですが毎回お刺身ではお財布事情が…ね。
それに動物性たんぱく質に偏った食生活は健康面で気になるので、脂質を抑えながらビタミンや植物性たんぱく質を上手に取り入れた食事を摂るように心掛けています。
ある日の私の食卓がこちら。
あんかけ厚揚げ
厚揚げをごま油でカリッと焼いて、皿に取り出したら
同じフライパンで人参、ネギ、えのき各5cmのせんぎり、裂いたかにかまを軽く炒め、
白だし大さじ1でクツクツさせたら片栗粉小さじ1・水大さじ1の水溶き片栗粉を流し入れてとろみをつけたものを上から掛けます。
蒸し鶏と茹で野菜の柚子胡椒マヨ和え
鶏むね肉をフォークでプツプツ刺したら塩を刷り込み、酒を少量加えた熱湯に沈め低温でじっくりと加熱させます。
その間にきゃべつやもやしなどアクのない野菜をさっと茹でます。
裂いた鶏むねと茹で野菜を柚子胡椒と醤油を少量ずつ混ぜたマヨネーズだれで和えます。
胡瓜のナムル
乱切りにするか、すりこ木で叩いた胡瓜を塩でもんで水気を出したら、塩・すりごま・ごま油・ラー油で和えます。
それから、アルコールを分解するには大量の水を必要としますので、お酒の水分とは別に「お水」をしっかりと飲むことも忘れないようにしてください。
新潟県産日本酒選びのポイント
私は日本酒好きの父がいる家庭で海の幸・山の幸に恵まれた新潟県で育ちました。そのため自然と食事は和食中心で、私も和食党になりました。
結婚相手は京生まれの京育ち。だしのきいた薄味好みの和食党です。好物は茶碗蒸し。
そんな二人の食卓には、焼き魚を中心に野菜の煮びたし、お豆腐料理などが並びます。
私も早く席に着きたいものですから手の込んだ料理はしていません。
もともと食いしん坊なので、お酒が主というより、しっかり食べておかずと一緒にお酒を楽しみたいタイプ。
酸味や辛みの少ない日本酒を選ぶことが多いです。
お酒好きライターが教える!おすすめの新潟県産日本酒!
越乃寒梅 白ラベル
出典: Amazon.co.jp
日々の晩酌にできる手軽な価格です。
料理を邪魔しない程度の主張で飽きずに楽しめます。
父が愛飲していたのがこちらです。
越乃寒梅 別撰
出典: Amazon.co.jp
ふた昔前までは手に入りにくく「幻の酒」と呼ばれていました。
常温や冷で飲むと爽やかで、ぬる燗にするとふくよかな味わいになります。
久保田 千寿
出典: Amazon.co.jp
食事と楽しむ吟醸酒を目指して作られています。香りは穏やかで口当たりは柔らかく、飲み飽きないお酒です。
冷はもちろん燗にも適したお酒です。
八海山 純米吟醸
出典: Amazon.co.jp
美味しいお米の産地として知られる南魚沼地方の蔵元さん。
香りが穏やかで料理の美味しさを引き立てます。
冷、常温、ぬる燗が向いています。
余談ですが、こちらで作られている甘酒の「八海山」(注ノンアルコール)もおすすめです。
雪中梅 純米酒
出典: Amazon.co.jp
こ自家井戸の軟水を生かした純米酒です。
新潟のお酒にしてはやや甘めですがほどよい旨味とすっきりした後味が特徴の飲みやすいお酒となっています。
熱燗にしても美味しいです。
麒麟山 吟醸辛口
出典: Amazon.co.jp
福島県との県境に近い山紫水明の地で辛口のお酒を作り続けている蔵元さんです。
香りが控えめでキリッとした爽やかさで飲み飽きないお酒です。
冷がおすすめです。
加茂錦 大吟醸
出典: Amazon.co.jp
大吟醸にしてこの価格はとてもお値打ち品だと思います。
華やかな香りと微濾過のふくよかな味わいを楽しめます。
紫外線をカットするため米袋に入っているところに心遣いを感じます。
越乃景虎 純米酒
出典: Amazon.co.jp
戦国武将・上杉謙信の長尾景虎にちなんで命名されたお酒です。
超軟水で仕込まれており、辛口ですがふくよかな味わいがあり、爽やかな飲み口となっています。
〆張鶴 純米吟醸
出典: Amazon.co.jp
新潟県北端の城下町・村上市の蔵元さん。きめ細やかな軟水の井戸水で仕込まれています。
控えめな香りと辛口でキリリとした後味が食事の美味しさを引き立てます。冷か、裏書きにはロックがおすすめとあります。
鶴齢 純米吟醸
出典: Amazon.co.jp
かくれいと読みます。雪深い南魚沼市塩沢の蔵元さん。新潟のお酒にしてはやや甘めかもしれません。程よい甘みで旨味も整っており食事ととてもよく合います。
まとめ
「酒は百薬の長」という言葉がありますね。気持ちは朗らかに、お料理はよりおいしく感じられます。周囲の人とのコミュニケーションツールにもなりますね。
しかし飲みすぎは禁物。口あたりがいいからとすいすい飲み続けているととんでもない事態が待ち受けています。おいしいお酒が飲めるのは健康な体があってこそ。
適量を心掛けた飲み方で楽しみましょうね。