今年、関東は異常な暑さですね!
なんと、関東より沖縄のほうが涼しい日もありました。
この猛暑の最中、少しでも過ごしやすくするための工夫をしたいところですが、エアコン、扇風機、除湿機、アイスクリームやかき氷……思い浮かぶものすべて試してもまだ暑くてたまらない!!
こうなったら、雰囲気だけでも涼しく過ごす工夫をしてみませんか?
初心に返って日本の夏の風物詩、風鈴を取り入れてみてはいかがでしょうか。
風鈴の魅力
風鈴の特徴といえば、その音色です。
風を受けて揺れるさまざまな素材がぶつかって音が鳴る仕掛けになっており、その涼やかな音色を聴けば、夏の情緒が感じられますよね。
「風を音色として聴く」と、どう感じるでしょうか。普段目に見えない風を、肌ではなく音として感じることができるため、「風を感じられて涼しいな」という気持ちになるのです。
さらに、扇風機などの人工風では作り出すことができない、自然界のゆらぎを感じることで、人はリラックス効果を得ることができます。
あまりの暑さに心の余裕を失いがちですが、自然界の音、たとえば波や雨の音、風の音を聴けば、そのストレスもゆったりと受け流すことができるというわけです。
風鈴の種類はガラス製だけにとどまらない!
実際に風鈴を使っているご家庭はありますか。
実家やおばあちゃんのお家で使っているのを見たけれど、自分で購入したことがないという人も多いのではないでしょうか。
ひと昔前は銅やガラス製の商品をよく目にしましたが、いまはさまざまな素材で作られた商品があり、音色もさまざま、デザインも豊富です。夏のインテリアとしてプラスしてみるのはいかがでしょうか。
さっそく、どのような素材があるのか見ていきましょう。
ガラス製の風鈴
風鈴といえば、ガラス製の商品を思い浮かべる人が多いと思います。絵柄は金魚や花火など、涼しげなモチーフが多いですが、かつては魔除けとして利用されていたと言われる真赤な商品も古典的で趣があります。
鉄製の風鈴
ガラスより歴史が古いのが、金属製の風鈴です。
風鈴は日本が発祥の地ではなく、実は中国の唐の時代に伝えられたといわれています。
仏教とともに伝えられた風鐸(ふうたく)は、寺などの四方に吊り下げる魔除けで、風鈴の原型といわれています。もともとは、涼しい音色を楽しむものではなかったのですね。
ガラス製のチリンチリンという短い音色とは違い、金属特有の澄んだ音色が長く響きます。
竹細工製の風鈴
竹細工製の風鈴を見たことがありますか?
竹の、といっても、竹音を楽しむものではなく、金属製の風鈴などを繊細な竹細工で囲う商品です。
最近はマンション住まいの人も多く、風鈴の音色が大きいと感じる人もいらっしゃいます。風鈴の設置場所がマンションの窓辺では、音がダイレクトにお隣まで届いてしまうため、気になって置くことができない場合がありますよね。
お部屋の中で楽しめる風鈴として「置き風鈴」といわれる商品があります。
美しい竹細工のスタンドは、インテリアとして目も楽しませてくれます。
竹細工の置き風鈴で人気が高いのは、駿河竹千筋細工です。
編むタイプの竹細工と違い、細めの丸ひごを差し込んで組み立てる繊細な伝統工芸です。
明珍火箸風鈴
出典: Amazon.co.jp
明珍(みょうちん)家は平安時代から続く甲冑師の家系です。姫路藩のお抱え甲冑師だった明珍家でしたが、明治維新で武士の時代が終わり、甲冑の需要が落ちるとともに、それまで余技として制作していた火箸に力を注ぎました。
その後、高度経済成長とともに高まる需要を見越し、自慢の火箸で風鈴を作ると、これが大人気に。
かつて一世風靡した甲冑家としてのプライドは、姿形を変えて、今も姫路の伝統工芸品として息づいています
火箸を活用した風鈴の繊細な音色は世界中にファンを作りました。かのスティービー・ワンダーも愛用していたとか!
インテリアとしての風鈴
音で涼をとる道具としてだけではなく、インテリアとしても楽しむことができる風鈴が増えています。
そこで、ほかとちょっと差がでる、こだわりのオシャレ風鈴をご紹介します。
まるでシャボン玉!虹色風鈴
出典: 楽天市場
空中にただようシャボン玉のような愛らしい佇まい。特殊加工によってガラス面が虹色に輝きます。職人がひとつひとつ手作りしているので、色も形も一期一会。
能作 風鈴 へいりん – 三角
出典: Amazon.co.jp
一目見ただけでは、風鈴だと気づくことができないかも! デザイン性に優れたスタイリッシュな商品です。能作の商品は、その独特な音色も素敵ですよ。
能作 風鈴 TANPOPO
出典: Amazon.co.jp
こちらは置き型タイプの風鈴です。形が変わっていますよね。
風が通ると綿毛が揺れ、台座が繊細な音色を奏でます。
このデザインなら季節問わず楽しめそうですね。
伝統工芸品としての風鈴
伝統工芸品として風鈴を楽しむこともできます。
歴史を知ると、それぞれに込められた職人の思いを感じながら、より深く情緒を味わうことができるでしょう。
定番でも味わい深い! そんな素朴な風鈴をご紹介します。
南部鉄器
日本で代表的な鉄製風鈴を作るのは、岩手で400年もの歴史を誇る伝統工芸、南部鉄器です。
「リーン」という涼やかな音は、環境省が選定した「残したい日本の音百景」にも認定されています。
現在、たくさんの型があり、色のバリエーションも豊富なので、外国人観光客のお土産に人気があります。
江戸風鈴
ガラス製の代表的なものといえば、「江戸風鈴」です。
江戸風鈴という名で商品を作ることができるのは現在、篠原風鈴本舗と篠原まるよし風鈴の2箇所のみ。
ガラス製品は、かつて身分の高い人たちしか手に入れることができない高級品でしたが、江戸末期から明治時代には安価に作ることができるようになったため、庶民も楽しめるようになりました。
型を使わず、宙吹きでひとつひとつ作られるため、手作りの素朴な風情があります。種類も絵柄もさまざま。
サイズは小丸(直径8cm)、中丸(直径10.5cm)、大丸(直径12cm)の3種類。形は、「ひょうたん」「しんすい」「小丸」「すずらん」。小丸が基本的な形です。
また、ご自身で絵付けができるお店もあります。職人さんから教えてもらいながら、オリジナルの風鈴を製作するのも楽しいですよ。
風鈴の選び方!
たくさんの風鈴の種類の中から、自分にぴったりの商品を選ぶために、3つのポイントのバランスで選んでみてはいかがでしょうか。
音色
風鈴選びの一番のポイントは、やはりその音色にあると思います。
金属の長く響く高い音。ガラス製のチリンチリンと低く響く音。
さまざまな音色があり、音の大きさも選びたいところ。
私は百貨店の売り場にいくと、全部の風鈴を鳴らしてみます。
一番自分好みだなと思ったのは、真鍮製の商品でした。なんともいえない上品な音色や大きな音が出ないところもポイントでした。
ブランドや価格
品質重視の人は、ブランドから選ぶのもひとつの手だと思います。
毎年買い換えるような品物ではないからこそ、一品を長く愛用したいものです。
数十年の歴史を持つ老舗の商品は、やはり長年愛されるだけの値打ちがあります。
また、素材や技術によってはお値段が張るものもあります。伝統工芸品など、職人の技術を結晶化したような美術品もあります。
素材やデザイン
いまどきのミニマムなデザインか、歴史が感じられるようなトラディショナルな風情か、好みやライフスタイルによっても差がでるはずです。
私の部屋は北欧風のインテリアでまとめているので、現代風のミニマムデザインのものを選ぶようにしました。
和室や縁側があるお宅なら、重厚感がある鋳物製もぴったり馴染むでしょう。
インテリア好きライターが選ぶ!風鈴おすすめ7選
いろいろな選択肢がありますが、それぞれの良さを踏まえて、私がとくにおすすめしたい風鈴を選んでみました。
江戸風鈴 小丸 宝船を松 赤
出典: Amazon.co.jp
伝統ある江戸風鈴。現代はガラスの透明さを生かした絵付けが多いですが、こんな真っ赤なものも素敵じゃないでしょうか。全体を赤く塗った風鈴はかつて魔除けとして使われていたといいますから、運気も上がるかも?
「宝船を松(待つ)」という縁起のいい柄もまた◎。
岩鋳 IWACHU 南部鉄器 風鈴 釣鐘 / あお
出典: Amazon.co.jp
「これこれ!おばあちゃんの家で見たことある!」
というご家庭も多いのでは? 伝統的なこの形が好き!という方におすすめ。
縁側がある窓辺に下げると素敵でしょうね。
南部鉄器 風鈴 岩手県産「てつびん」川本屋茶舗
出典: Amazon.co.jp
トラディショナルな鋳物の風鈴をお探しで、なおかつ個性も欲しい方におすすめなのはこちら。
小さな鉄瓶付きでなんとも愛らしい 南部鉄器への愛を感じますね。
能作 風鈴 スリム ゴールド 101011
出典: Amazon.co.jp
私、一目惚れしたのがこちらの商品です。
とにかく「美しい!」のひとこと。そして、肝心な音色がまた、素晴らしいのです。
上品で優しい音色は、主張しすぎることなく生活にそっと寄り添ってくれるかのような心地がします。ぜひ体感していただきたい商品です。
Cozzine 風鈴 ウィンドチャイム (銅色65cm)
出典: Amazon.co.jp
海外では、風鈴のことを「ウィンドチャイム」と呼びます。
日本の風鈴と比べるとやや大きめですが、プロフェッショナルのチューニングエキスパートによる見事なコーディネートを堪能できるでしょう。
カフェなどのお店にも調和するデザインですね。
小田原風鈴 松虫風鈴 寄木短冊付き 真鍮製
出典: Amazon.co.jp
「小田原風鈴」をご存知ですか?
室町時代から続く小田原鋳物の涼やかな音色と、箱根名産の寄木細工のコラボレーションです。寄木細工は天然木から作られているため、2つと同じものはありません。
松虫の声をモチーフに研究を重ねたという音色、聴いて見たくなりますね。
風の水琴 響
出典: Amazon.co.jp
テレビ番組でも紹介され、話題になった一品です。
複数の音階が奏でる神秘的な和音は唯一無二です。一度聴けば「水琴」と名付けられている理由がお分かりになりますよ。
まとめ
お気に入りの商品を見つけたら、ぜひお家の窓辺に下げて、目をつぶって風を感じてみてください。お祭りで売られる風鈴の音、浴衣姿の子どもたち、縁側で食べるスイカなど、音色から連想されるものが、ぐっと夏の気分を高めてくれますよ。
先人の知恵で、今年の猛暑を乗り切りましょう!