皆さまは布、またはその布に描かれたデザインが好きでしょうか。
北欧デザインブームがもはや定着し、あわせてテキスタイルという単語もある程度は市民権を得たように思えますが、テキスタイルとは服飾や布製のインテリア(カーテン、クッションカバー、シェード、椅子の背面カバーなど)などのファブリック、またはそのデザインをさします。
日本ではマリメッコやミナ ペルホネン、ニーディックテキスタイルなどがテキスタイルときいて名前があがるメーカーでしょうか。
筆者はアルビッドソンズ・テキスタイル、 ボラスや、テキスタイルとは違いますが、トワル・ド・ジュイなどを素敵に思います。
布を楽しむのは服飾だけでしょうか。
最近はファブリックパネルなども人気ですが、飾れるような壁の余白が、みなさまのご自宅にどれほどあるでしょうか。
また、好きな柄がご自宅にそもそも合う雰囲気でしょうか。
布を楽しむ方法は、他にもないのでしょうか。
そこで、カルトナージュです。
カルトナージュとは?
カルトナージュはフランスの伝統工芸です。
厚紙を意味するカートン(carton. タバコ1カートンと呼びますが、そのカートンです)に紙や布を貼って装飾することを指します。
現在ではカルトナージュと言えば、おおよそ厚紙でできた箱の内側、外側に布、または紙を貼り付けて装飾した箱のことをさすと言ってもよいでしょう。
単純に紙や布を貼るだけではなく、例えばレースやリボン、チロリアンテープ、フリンジテープ、ブレードで装飾したり、窓をつけたり鏡をつけたり、UVレジンでモチーフを埋め込んだりなど、おおよそ平面に対して行える装飾はたいてい行えます。
また、布のなかに綿をつめてふっくらとさせることも可能です。
カルトナージュが分からない、という方は手芸で使う「針山」を思い描いてください。
針山は厚紙の上に綿があり、その上に布があります。
もちろん、針山はカルトナージュではありませんが、まったくカルトナージュが分からない、という方にはイメージしやすいかと思います。
カルトナージュの魅力
冒頭で布の魅力、テキスタイルの魅力を述べました通り、筆者にとってはカルトナージュの魅力はすなわち、布 = 柄 の魅力です。
30センチを超えるような大柄の布を楽しむことは難しいかもしれませんが、好きな布 = 柄 が使われたものを身近に置いて使えることができます。
例えば、箱といっても小物入れ、ゴミ箱、ティッシュケース、ペン立て、メガネ置き、リモコン立て、ソーイングボックスなどがあります。女性なら、メイク落としシートのケースだって箱といえるでしょう。
また、箱にこだわらず、トレイ、写真立て、通帳入れ、鏡立て、はがき収納、カードケース、メジャーなどもカルトナージュとして作成、装飾することが可能です。
筆者の友人には、とくにカルトナージュに興味があったわけではないけれど、厚紙から自分で切り出せば、欲しいジャストサイズが手に入るというメリットに魅力を感じて箱をつくり、ついでにカルトナージュの技法を使って装飾した、という方もいます。
どこに魅力を感じるかは人それぞれですね。
こういった特徴に魅せられた方が増えてきているのか、近年は日本でもカルトナージュキットが発売されたり、1Day体験教室が開かれたりと、ハンドクラフト界隈ではますます注目を浴びています。
カルトナージュキットの種類について
カルトナージュを始めるにあたり、もっとも簡単な手段はキットを購入することです。
キットには必要なものの大半が含まれています。(ハサミやノリなどはご自身で用意いただくケースが多いです)
布や紙もカルトナージュキットに含まれていることが多いですが、好みの布や紙があれば、そこだけオリジナルに変更することもできます。
キットの種類は千差万別です。
「レシピ、台紙、布または紙、金具や装飾に必要なパーツ」などすべてが含まれ、ご自身で用意したノリで張り付けるだけのもの、が最も簡単に始められるキット内容でしょうか。
ここから、なにが除外されるかでキットの種類が大別されます。
- 布または紙のみが含まれていないもの(レシピ、台紙、最低限必要なパーツのみ)
- 台紙が含まれていないもの(牛乳パックなどで代用)
- 完成された厚紙製の箱等のみ(布または紙、装飾パーツは自信で用意する)
カルトナージュキットの選び方について
まず、ご自身がなにを欲しているか、なにをしたいか、で決めることをおすすめします。
カルトナージュ自体に興味があるのでしたら、まずは台紙が含まれているキットを購入することをおすすめします。
厚紙製の箱のみなども販売されていますが、カルトナージュを作り続けていくうちに、欲しい形・サイズというものがきっとでてくるはずです。その時は台紙から起こすことになるので、最初から台紙で作っておいた方が良いと思います。
箱が欲しい、カードケースが欲しい、など作りたいものが明確にある場合は完成品に応じてキットを購入することをおすすめします。まずは試しに簡単なものを作ってみるより、最初から欲しいものを作成してしまった方がテンションがあがります。
ちなみに筆者は台紙が含まれておらず、牛乳パックで代用するタイプのキットを最初に購入しました。
初心者が最初に始めるにあたり、値段が安いキットがこの手のタイプだったからです。
カルトナージュキット エトセトラ
カルトナージュ BOX キット 生地付 WL95
出典: Amazon.co.jp
カルトナージュと聞いて想像するであろうものが作成できるキットです。
布の柄は好みが分かれるところですが、総柄なので裁断済みの布であっても、出来上がりが大差ないので最初に作るにはよいかと思います。
総柄ではなく、大きな柄やループの柄が含まれているキットだと完成が図と違ってしまうことが多々あるので、最初は総柄、ストライプ、水玉あたりが無難かと思われます。
NBK Cartonnage カルトナージュ ミニオーバルボックスレシピ付き CTN46
出典: Amazon.co.jp
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廉価なのでとりあえず作ってみたい方向け。サイズも小さく、完成までそこまで手間がかかりません。
また、布が含まれていないタイプのキットなので、最初から好きな布で作りたい方にはおすすめのキットかと思います。
カルトナージュ インテリア ボックスキット レシピ付
出典: Amazon.co.jp
インテリアボックス、と名前がありますが、洗面台などにおけるようなミニゴミ箱サイズで、意外に使いやすく、フタもないから作りやすいかと思います。
厚紙がケント紙なのが筆者的にはポイントが高いです。扱いやすいように感じます。
有輪&マリメッコ カルトナージュ リモコンラックキット
出典: Amazon.co.jp
北欧テキスタイルで人気のマリメッコの布のついたキットです。
好きな柄がすでにセットされている場合は、キットは本当に楽です。布は場合によっては1メートルから販売という店も多いので、カルトナージュを作った余り布に困るということはありません。
大人のカルトナージュ
出典: Amazon.co.jp
つかわれている布のセンスが大変に上品で、まさに大人のカルトナージュ。フランス趣味です。
ページを開けば作ってみたい!とおもわざるをえない素敵な作品の数々に目が奪われます。
カルトナージュキットに興味があるけれど、やっぱり一歩を踏み出せないという方はぜひ読んでみましょう。
キットではありませんが、作り方も丁寧に記載されていますし、完成した作品をどうするかというその先の想像も膨らみます。
カルトナージュの初心者向けの本は多数発売されており、作者の個性が前面にでておりどれも同じようで違います。
筆者はこちらの本がドンピシャでしたが、きっとあなた好みの1冊があるはずです。
カルトナージュキットに迷ったら、本でたくさんの種類を見てみるのも良いと思います。
こちらは筆者の母作の紙製のカルトナージュボックス。
なんだと思いますでしょうか?投票箱です。概念にとらわれることなく、あらゆるものをカルトナージュは装飾できます。
カルトナージュ ア・ラ・カルト
一度キットで作成すると、含まれていたレシピを元に再度ご自身で起こすことも(キットの内容によっては)可能です。
その場合は必要な資材のみを追加で購入することになります。
カルトナージュはこのタイプが多いのか、キットを称して単素材のみ、または簡易キットの製品もたまに見かけます。
折り目正しいキットよりもこちらの方が最終的には需要がありますしね。
ケント紙
出典: Amazon.co.jp
いわゆる台紙です。
カルトナージュ用として売ってもいますが、専用でなくとも普通のケント紙を購入した方が安いです、
筆者の友人は昔書いていたマンガ用の原稿用紙(ケント紙)を再利用して作りましたが、専用紙でないと困ることはありません。
水張りテープ
出典: Amazon.co.jp
水張り、上手な方がうらやましいでです。筆者は苦手です。
色は白を購入しておけば、大概困りません。
ハサミ
出典: Amazon.co.jp
百円均一のお店で買えるはさみでも紙は切れますし、すでにカット済みの厚紙しか買わない!という方なら特に必要なアイテムではありませんが、牛乳パックを再利用するとか、余っている厚紙でなにかをこさえたい時はどうしても必要です。
手に合わないハサミを使い続けていると痛くなりましり、多角形の箱を作る時などは思ったよりも丁寧に切る必要があります。
カルトナージュを作らなくなっても、ハサミは使えますし、ちゃんとしたハサミは購入してしまっても損はありません。
まとめ
カルトナージュの魅力について少しでも伝わればうれしい気持ちで書きましたが、伝わりましたでしょうか。
なにに魅力を感じるかは人それぞれですが、筆者はなんといっても 布 = テキスタイルデザイン です。
プラスアルファをいえば、タッセルやフリンジテープも好きです。
なによりも時間をかけて指先を動かして作った、世界に1つだけの自分のカルトナージュです。自分好みに作らないで、どうしようというのでしょうか。
生来、手先が不器用なので人様にみせされるようなものは作れませんが、カルトナージュは基本的にご自身が作り、ご自宅で楽しむものです。
気負わずに、楽しみましょう。