おませだった私は中高校生の頃からファッション誌を愛読し、お洋服だけではなくインテリアに関する興味もあってインテリア雑誌も時々購入していました。お小遣いでインテリア小物を購入して自室のコーディネートなどもしました。そんな私が高校を卒業して選んだ進路は芸術系の短期大学で専攻はインテリアデザインでした。
入学して授業に必要な画材を購入すると今までに使ったこともない精巧なコンパスや定規、図面を描くための芯ホルダーなど専門的な道具たちに目をキラキラさせていると…見たこともない「プロ」を意識させるペンがありました。それが「ロットリング・ラピッドグラフ」です。黒いボディに赤いライン(現在の製品とはデザインが違います)ペン先は細くて繊細で、ボディに書かれた0.3に0.1…え、0.18に0.25‼これって線の太さ?
小学生の頃に漫画が描きたくて、買ったGペンは万年筆と同じようなペン先で太さがありました。ロットリングは今まで見たことのない針金のようなペン先でありながら、細い線がスムーズに描けるというその専門性とカッコよさと機能に一目惚れ。手にしたらすぐに使ってみたのは言うまでもありません。
ロットリングって?
ロットリングは創業者のウェルヘルム・リープはアメリカの博覧会で出会ったパイプ状のペンをヒントにチューブラ万年筆を考案します。このペンは万年筆と違いペン先(ニブ)がないニードルポイントペンと呼ばれています。パイプの中に入ってるワイヤーがインクの流れを調整していました。
1931年に特許を取得し、次の年には世界各地へ輸出が始まります。そして、ラピッドグラフを初め多くの製品を開発し、製図やデザイン用筆記具として愛用されています。
製図用のペンは真っすぐで一定の太さの線が描けることを要求されます。ロットリングを使わないで墨入れをする場合には、私が買った製図用具一式の中にも入っていたカラス口という二枚の鉄板の中にインクを挟み線を描く筆記具があり。初めて見ると「何に使うの?」「筆記具?」と思うような謎めいた形をしています。名前も「カラス口」ですからね。何故ならその二枚刃の形状がカラスの口に似ているからつけられた名前です。
カラス口では線の太さを変える時には鉄板の根元についているネジを調節します。定規に当てて使うのですがインクの横漏れや線の太さの決め方にも神経を使いますし、前に描いた線と同じ太さを描くのも初心者には難しいなど使いこなすのにテクニックが必要です。
また、今でも漫画やアニメを描くのに使われることでネットでも紹介されているガラス棒と言う線を引く道具もあります。ガラス棒の使い方はまず筆とガラス棒を一緒に持ちます。定規に付いている溝にガラス棒を当てながら筆と一緒に動かして線を引くものです。これもかなりのテクニックが必要です。子供の頃に使った片口の竹尺に溝が掘ってあるのが「謎」だったのですが、ガラス棒を通す溝だと知った時は驚きました。
カラス口とガラス棒で線を引くテクニックを 溝引き&烏口 で紹介されています。興味のある方は見てください、素晴らしいテクニックですよ。
しかし、ロットリング製図ペンは簡単に同じ太さの線が引けます。製図がかなり神経を使う仕事なのでスムーズに描けることは作業効率が上がるのは間違いなく、図面を描く者にとってはとっても嬉しいことだったのです。しかし、その機能の良さは製図だけでなくデザイン・イラスト・漫画やアニメなど多岐に渡って支持されるペンとなっていったのです。
ロットリング製図ペンのタイプ
ラピッドグラフ
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ロットリングと言えばラピッドグラフ、ロットリングを代表するモデルです。インクはカートリッジ式で買った直後から使えます。インクには乾燥しにくくなる成分が含まれているので目詰まりしにくいペンです。 1本3,000円程度と高いと思われるでしょうが、
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摩耗したニブの部分だけ交換できるので、長期間使えるお買い得な製品となっています。
イソグラフ
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こちらはインクを吸入して使うタイプです、カートリッジ式と違って本体を定期的に洗浄する必要がありますが、長時間使ってもインク切れがなくコスパが良いのが特徴です。しかし、ラピッドグラフと違いインクを乾燥しにくくする成分が含まれていないため速乾性が高いのでメンテナンスをきっちりする必要があります。イソグラフにも交換ニブが販売されています。
アートペン
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人間工学に基づいた設計によって生まれたカリグラフィ用・レタリング用・スケッチ用のペン先を持つペンです。カリグラフィ用のペンでは流れるように美しい文字が書けます。別売りのコンバーターを使えばお気に入りの瓶入りインクを使うこともできます。但し。お掃除をお忘れなく。
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ティッキーグラフィック
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ミリペンと呼ばれる種類のペンでロットリングでは珍しい使い捨てタイプのペンです。インクの残量が分かるスケルトンタイプです。書き味が滑らかで飛行機の中のような気圧が高い場所でも問題なく使えると評価が高いペンです。ミリペンの中ではちょっとお高め。
ロットリング製図ペンの選び方
ロットリングの製図ペンを選ぶ基準で考えるのは…
使いたい線幅
これは描く対象が決まれば自ずと決まってくると思います。製図なら0.5㎜や0.3㎜を多く使います。イラストを描く方は0.3㎜が多いようですが0.1㎜も使っているようです。
紙とインクの相性によって同じ太さのペンでも描いた線の仕上がりが微妙に異なります。使う太さで迷うなら画材店などで実物を見て選ぶのが良いと思います。
ラピッドグラフかイソグラフのどちらを選ぶのか
カートリッジ式インクのラピッドグラフとイソグラフ。インクのコストを考えるとイソグラフがお得です。しかし、メンテナンスの手間を考えるとラピッドグラフの方が良いかなと思います。但し、ラピッドグラフもメンテナンスをしないでよいわけではありません。それを考慮に購入する製品を決めなくてはなりません。
価格は
ラピッドグラフもイソグラフも本体だけだと価格はそう変わりません。変わるのはインクの価格です。ラピッドグラフでは専用のカートリッジインクしか使えませんが、イソグラフだとインクを充填すればよいのでコストは抑えられます。使う頻度によって選ぶのが良いと思います。
ラピッドグラフ用カートリッジインク
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イソグラフ用インク
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そして、どちらにも使いますが、イソグラフの方が使う頻度が多いクリーナーです。
ロットリングクリーナー
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カートリッジインクはコストがかかりそうですが、クリーナーの頻度と手間を考えて決めた方が良さそうです。
セット品か単体か
確かにセット品はお買い得です。但し、使うか否かをしっかり見極めて購入するのが大事だと思います。4本セットで3本は使う頻度が多いならセット品も良いでしょう。しかし使う頻度が多いのが1本となるとその1本に対するコストがかなり高くなります。使わないペンももったいないですよね。だたし、セット品は単体で買うよりお安くなり、単体では買えないおまけが付いているので欲しくなるんですよね。
私のイチオシはこれ!ロットリング製図ペン
ロットリングで最初に買って一番使ったモデルがラピッドグラフの0.3㎜でした。
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ラピッドグラフでいえロットリングで一番人気のある太さだと思います。製図なら線を引いて図面上に文字入れするのも0.3㎜でまかなえます。イラストやデザインでもよく使われていると聞きます。最初に1本だけ購入するならこの太さをお勧めします。
ロットリング製図ペンおすすめランキングTOP6
6位 アートペン
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カリグラフィに憧れたことがある筆記具好きな私としては一度は手にしてみたいペンです。始めるならお手軽な3本セットを購入したいと思いますが、私は美文字が書けるまで使える自信がないので見て満足しています。
5位 イソグラフ 4本セット
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イソグラフ 0.2㎜・0.3㎜・0.4㎜・0.5㎜にインク、コンパス用アタッチメントがセットされています。イソグラフのスターターセットです。ペン用スタンドは作業中にペンを立てておけるのでいちいち蓋を締めなくてよいのが便利です。
4位 ラピッドグラフ4本セット
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0.25㎜・0.35㎜・0.5㎜・0.7㎜と微妙な太さがセットになっています。細い線より若干太めを使う方に向いています。0.7㎜って太いですよ、本数を使うなら先端を乾燥させないためにもスタンドは使いたい。
3位 ラピッドグラフカレッジセット
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0.1㎜・0.3㎜・0.5㎜とインク、消しゴム、コンパスホルダー・定規・芯までついているお得なセットです。使い勝手の良い太さもスタター向けです。こちらもセットなのでペン先を乾燥させずに描けるスタンドが付いています。私もこのスタンド持っていました、学生なのにスタンドがあるだけでプロ気分でしたよ。
2位 ファイバーチップペンティッキーグラフ 0.3㎜
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私が今一番使ってみたいのがミリペンのティッキーグラフです。仕事で使うことを考えると頻度・スピード・扱いやすさが重要となるため、そのどれをとってもティッキーグラフが最適と考えました。ミリペンは製図の仕事を辞めてから使い始めました。最近は使うことが少なくなっていましたがティッキーグラフと出会って使ってみたくなりました。
1位 ロットリングラピッドグラフ 0.1㎜
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私のイチオシは0.3㎜ですが、ロットリングの魅力は0.1㎜の太さでもあります。定規を見てみると1㎜って細いですよね。その1/10の太さの線が描けるペンって魅力的です。今はミリペンにも0.1㎜はありますが描いてみるロットリングのシャープさが際立つと思います。繊細な線を求めるならロットリングです。
まとめ
ロットリングは描きたい太さの線が美しく描ける魅力的なペンですが、鉛筆やボールペンと違い垂直に立てて使わなければなりませんし、美しく描くためには筆圧にもコツが必要となる繊細な筆記具です。それでも、作品の出来上がりを見ると「使ってよかった」と思える製図ペンです。クリーニングもできればマメに、長期に使わない場合はインクも抜いてニブも洗浄して保管してください。大事に使えばベストパートナーになってくれる製図ペンとなるでしょう。