インク沼の住民のみなさんこんにちは!順調に水かさ増してますか?! 住民でなくてもインクの色の美しさに惹かれて沼の淵まで来ている方、…ようこそ!
普段、どんなインクで書いてますか?基本的に万年筆メーカーはどこも万年筆と同じメーカーのインクを使う事を推奨しています。(例えばパイロットの万年筆であればパイロット製のインク)
とはいえ、気に入ったインクが他社の物である場合って普通にあるんですよねそういった場合は自己責任で…という事になるのですが、インクの特性上詰まりやすいとか、ペン先が錆びるっていうものもあるのでそのあたりも含めてご紹介したいと思います。
実はこんなにあるインクの種類
実はインクと一口に言っても、3つの種類があるのをご存知ですか?この項では選ぶポイントと一緒にその種類についてご紹介します。
1. 染料インク
◆色の多様さは随一!扱いも簡単!書き損じてもインク消しがつかえる!
インクの色素に染料を使っているインクです。紙に色素を染み込ませて染めるという方法で紙に文字を書きます。
メーカーによるのですが、基本的に耐水性はゼロ、耐光性もあまり良くないので長期保存には向きませんが、耐水性がない分、水につければ固まったインクも溶けるので手入れの面では一番扱いやすいです。
現在、一般的に売られている万年筆インクの大半がこのタイプであり、大半を占めるので選択肢が多くブレンドも可能なので「ブレンド専用インクを使えば自分オリジナルの色すら作れてしまう」というところが魅力ですね☆
もし、書き間違っても、インク消しが使えるのは便利です。
2. 顔料インク
◆色素に水に溶けない顔料を使っているので、染料より滲みにくい、紙の裏抜けもしにくい!
染料インクが色素を水などに溶かして布や紙といった繊維を「染める」ものであったら、水などに溶けない顔料は塗料や化粧品などの「塗る」用途で用いられる色素が使われている顔料インクは、紙に塗りつけるという状態になります。
顔料の特性上、染料インクに比べ滲みにくく、耐水性・耐光性が勝ります。
(上が染料、下が顔料です。シャワーを画像の上下で1往復しています)
ただ、染料に対して色素の粒子が大きいので顔料インクを入れて長期間書かずにペン先が乾燥してしまうとインクが固まって詰まってしまう、という可能性があります。とはいえ、染料インクでもあり得る事なので、インクを使い切ったらその都度洗浄したり、長期間放置しないというのは大事かもしれません。
あと、顔料インクはインク消しで消えないので、そのあたり少し注意が必要ですね。
プラチナからインククリーニング用キットが出ているのでそりらを使えば気軽にメンテナンスできると思います。
出典: Amazon.co.jp
3. 古典インク / 没食子インク
◆耐水性耐光性は1番!インク消しも使える!
3種の売られている比率が染料が8、顔料が1だとしたら、古典インクは1くらいじゃないでしょうか。製法の特殊さに加え、手間がかかるために染料インクと安価で耐久性の高い油性ボールペンなどにとってかわられ、こちらは絶滅危惧種です。
古典インク、あるいは没食子(もっしょくし)インクと呼ばれています。
硫酸鉄と没食子酸を調合した薄灰色の液に視認をよくするため、青などの染料を混ぜたインクです。化学変化によって色素が紙に定着するという方式のインクであり、目を引くのが書いてから空気に触れることで色が変わっていくというところ。
そして、書いた後数日後まで化学変化は続き、書いたときは青かったものが時間の経過によって黒ずんでくるという性質があります。
そして、強い酸性というインクの特性上、金のペン先でないと腐食してしまう事があるので注意が必要です。
ただ、耐水性・耐光性は3種類の中で一番で、書かれた文書の保存性は非常に高く、液が強すぎるあまり配合によっては何十年も保存するうちにインクの成分が紙の繊維を分解してしまい、インクで書いた部分が文字の形に抜けてしまうと言う現象も起こるそうです。
こちらも長期書かないでいると、鉄の成分が固まり詰まってしまうことがあるそうです。ただ、アスコルビン酸(ビタミンC)を使ってクリーニングすればつまりは治るので心配は無用です!インククリーニング用キットを使ったらもっと気軽にメンテナンスできると思います。
プラチナ インククリーニングキット
出典: Amazon.co.jp
売っているメーカーがほとんどないので、詰まったらほぼ一択でしょうね。
ちょっと脱線しましたが、不便が多い印象なので、ちょっと意外な感じですが、書き損じてもインク消しがつかえます。
タイプ別万年筆インクおすすめメーカー
染料インク
【パイロット】
パイロットコーポレーションは、1909年に航海士のための烏口(つけペン)を改良し特許を取得したことに始まるメーカーです。当初は創業者の一人、並木良輔氏の名を冠した並木製作所でしたが、その後水先案内人の意味を持つ「パイロット」に社名を変え、今年で100周年を迎える国産万年筆シェアナンバーワンの老舗メーカーとなりました。万年筆以外でも(近年で言うと)こすって消せるフリクションボールぺン等をはじめとするヒット商品を発売している他、万年筆でも長い歴史を重ねる中で数々の名品を出していて、いつの時代も「書く」という文化を支え続けてきました。
この伝説的動画で使われている万年筆もパイロット製です。(海外版:ナミキファルコン=国内版:エラボー)
これを見て、「万年筆を始めた」という方もあるようですね。
おすすめ1. 色彩雫 24色 各15ml / 50ml
出典: Amazon.co.jp
数年前に大ヒット。このインクと同社のエントリー価格帯の万年筆「カクノ」がきっかけになり、万年筆沼に若い層を呼び込んだと言われているシリーズです。
日本の美しい自然や景色が生み出す美しい情景をモチーフに名づけられた全24色です。
15mlサイズと50mlサイズがあり、50mlは使い切れる気がしなくても、15mlなら気軽に手を出しやすいですし、集めたくなっちゃいますよね!和を感じさせるも印象に残る色名が素敵です。
おすすめ2. インキ350ml 3色 各350ml
出典: Amazon.co.jp
というシンプルな製品名です。3色(青・赤・ブルーブラック)と色のバリエーションはないものの、350mlも入っていて、ポン酢のような外見です。でも、コスパは一番なんではないでしょうか?
【モンブラン】
モンブランは1906年 にドイツ、ハンブルクの文房具店の主人と銀行家、ベルリンのドイツ人エンジニアの3人によって万年筆の製造が開始されたことに始まる老舗メーカーで、万年筆製品の天冠(キャップの頭部分)に雪の名峰モンブランを模した「ホワイトスター」を配したマイスターシュテュック149を始めとする名品を擁する製品群は「万年筆と言ったらモンブラン」と言うくらいの代表的な存在です。
おすすめ3. モンブラン ボトルインク 9色 各60ml
出典: Amazon.co.jp
レギュラー販売の中の1色ですが、他にも気品のある色が揃っています。わたしも、モンブランの万年筆を使うときにはこちらを合わせています。
【ペリカン】
1832年、北ドイツはハノーファーで化学者カール・ホルネマン氏が絵具とインクの工場を設立したのを始まりのこちらもモンブランよりもさらに起源が古い老舗メーカーで、モンブラン同様コレクターも存在します。商標のモチーフとなったペリカンの親子は時代によってヒナの数に変遷があり、年代判別の手掛かりになっていたりもします。代表的シリーズのスーベレーンは今でも年代を問わず愛され続けています。私のメインペンもペリカンで、ペリカンのインクを入れています。
おすすめ4. エーデルシュタイン 8色 各50ml
通常販売されている色数は8色、他にインクオブカラーとして毎年1色限定色が出ます。
出典: Amazon.co.jp
わたしの愛用のインクで、最も気に入っています。ボトルも素敵で見て良し書いて良し、で最高です!
ペンに優しい成分を配合しているとのことで、そこも愛用の理由です。
【カランダッシュ】
前身は1915年に創業した鉛筆工場だという、スイス最大の総合筆記具メーカーです。
私自身、2社ほど画材店に勤務していましたが、その際もカランダッシュは必ず取り扱っていました。
色鉛筆や万年筆インク等の色出しについては素晴らしいものがあります。
おすすめ5. クロマティクスインクレディブルカラーズ 12色 各50ml
出典: Amazon.co.jp
一目見たとき「おっ、」と目を引くような鮮やかな色合いのインクです。
実は今買おうか悩んでいる一本だったりします。
【Noodler’s】
アメリカのメーカーのようで、面白い商品を売っています。日本に代理店がないとのことで入手にはちょっとリスクが伴いますが、ちょっと欲しくなっちゃいます。
こちらの動画の中でインクが使われています。(セピア色というか黄土色?のインクのパート)
おすすめ6. ヌードラーズインク
出典: Amazon.co.jp
染料なのに乾くと耐水性になるという画期的なインクです。染料インクの最大の弱点ですからね、水濡れって…。もう少し入手しやすくなってくれるといいのですが…
おすすめ7. Bulletproof Blue Ghost
出典: Amazon.co.jp
染料っていうんでしょうかね?見た目透明で何書いたのかわからないのですけど、ブラックライトで光るんですよ!!!!
面白いでしょ!?
【プラチナ】
プラチナ万年筆は国内3大万年筆メーカのひとつで、それまで輸入万年筆の販売を手掛けていた中田俊一氏が1924年に東京の上野で中屋製作所を創業したことに始まるメーカーです。文具の他、デザイン関係・建築関係・美術関係・写真関係の他、ビジネス(プレゼン)用途などでの利用も多い「ハレパネ」など、文房具以外にもロングセラーの商品の販売をしています。
おすすめ8. ミクサブルインク 全9色 20ml / 60ml
出典: Amazon.co.jp
基本的に万年筆インクは成分等の関係で混ぜると万年筆に入れたときにペンを傷める可能性があったりすることもあり、混色はしないものなのですが、こちらは自分の好みの色にインク同士を混ぜて自分だけの色を作れるんです!
メーカーさんによると、「それぞれのインク色が少ない色素で構成されているため、イメージ通りの色を作りやすい」とのこと。
なかなかピンとくる色に出会えない…なんて時にこちらを試してみるという手もありますよ!
【セーラー】
1911年に阪田久五郎氏が広島県呉市に阪田製作所を創業したことに始まる会社でこちらも歴史を重ねる中で日本初のボールペンを製造したり、カートリッジ式万年筆の特許を取得するなど、日本の筆記用具業界をリードしてきたともいえる老舗メーカーです。
パイロット社も船舶・航海に関連した商標ですが先に社名が付いたのはこちらだそうです。
おすすめ9. インク工房 全100色 各20ml
こちらは最近発売されて界隈で話題になっていた100色ものラインナップを揃えるシリーズです。
セーラーさんはショップオリジナルインクとか割と染料インクの調合に関しては力いれてやってる感じがしますが、とうとうこんなシリーズまで…と思ったものです。
一度お店で全色見てみたいです。きっと壮観でしょうね!
顔料インク
【セーラー】
おすすめ10. ストーリア 全8色 20ml / 30ml
出典: Amazon.co.jp
30mlサイズしかなかった頃ですが、「第24回日本文具大賞2015」にてデザイン部門・優秀賞に選出されたインクです。
いずれも顔料インク特有の鮮やかさを持ち、これだけのバリエーションをラインナップしているのはこのシリーズだけかと思います。
【プラチナ】
おすすめ11. 超微粒子 水性顔料インク 4色 60ml
出典: Amazon.co.jp
こちらも色数は少ないながらも、ナノサイズの超微粒子のピグメントを使って作られており、よりペンに詰まりにくいように設計されています。
没食子インク/古典インク
【プラチナ】
おすすめ12. クラシックインク 全6色 各60ml
出典: Amazon.co.jp
国産品では一番色数が多いですが、黒に色味を加えたもので統一されています。
【ペリカン】
おすすめ13. ブルーブラック4001 62.5ml
出典: Amazon.co.jp
ペリカンの古典インクです。この4001というシリーズは価格も安く、手に入りやすいので初めてのっ古典インクとして買いやすいと思います。
【ダイアミン】
ダイアミンは、1864年にイギリスで創業した万年筆、カリグラフィー、製図等のインクから、スタンプ台に至るまでを手掛ける総合インク製造会社です。
おすすめ14. レジストラーズインク 30ml
出典: Amazon.co.jp
ダイアミンはカラーインクでも有名ですが、古典インクも愛好家は少なくないようです。
【ローラー&クライナー】
ローラー&クライナーは120年以上の歴史を持つドイツのメーカーで、現在も天然素材を使った伝統的な製法で昔ながらのインクを作り続けている会社です。
おすすめ15. スカビオサ 50ml
出典: Amazon.co.jp
おすすめ16. サリックス 50ml
出典: Amazon.co.jp
没食子インクとしては珍しい色を揃えているシリーズです。
扱ってるお店が少ないのですが、プラチナよりこちらの方が選択肢が多いのとボトルが魔法の小瓶ぽくておススメです。
まとめ
沼の住民の方のいつものインクとは別ジャンルのインクとの出会いのきっかけになれば嬉しいです!
そうでない方も是非、ご自分に合いそうなタイプのインクを見つけて頂いて、仲間になって頂けたらと思います!