子育てがひと段落した現在、新たに浮上してきたのが親の介護。介護といっても、がっつり付きっきりで行っているわけではないのですが、日々、人の手を借りないと生活に不都合が出てくる親を見ていて、いろいろ考えることがあります。
もし、私が介護が必要になったとき、子供や孫の世話にはなりたくないなぁ・・とか、現在ある預貯金をどうしておこうか・・とか。とりとめないようですが、確実に人生の終わりに向かっている現在、どのような最期を迎えるのか、きちんと決めておきたいと思うのです。
そんな気持ちを書き留めて置けるエンディングノートが最近注目されていますが、今回はこのエンディングノートを取り上げてお話していきたいと思います。
エンディングノートとは?
さて、「エンディングノート」。最近よく耳にする言葉ですが、どういったものかご存じでしょうか?こちらでは、エンディングノートについてご説明していきましょう。
「遺書」「遺言書」と何が違うの?
私達は、死に直面する病や、物事の判断、回りとの意思疎通ができなくなる病、また、身体の自由がきかなくなったりと、今当たり前に過ごしている日常が突然無くなってしまうことがあります。もちろん、自分の意思とは関係なく、命を落としてしまうこともあるかもしれません。
そんな「もしも」の時に備え、自分の希望や家族に伝えておきたいことを予め記録をしておくのが「エンディングノート」です。
自分のこの世でのゴールを死と例えると、そこに向かって残りの人生をどのように生きていきたいか、何をすべきであるのかを考え、この「エンディングノート」に整理して記入します。このことが、具体的に行動していくために、大きな助けとなってくれます。
相続の際に法的な効力を持つ「遺言書」や、自分の死を覚悟して家族や友人に感謝や遺恨のメッセージを残す「遺書」とは異なり、自分の万が一の時に、家族の手助けになる内容が記載してるのが「エンディングノート」なのです。
いつ書けばいいの?
一般的には高齢者が自分の終焉が近づいてきたな・・と思い始めるとエンディングノートを記入すると言われていますが、年齢に関係なく、自分の終焉やもしもの時が気になり始めたり、人文の人生設計を行う際等に、自由に記入していけば良いと思います。エンディングノートを書くタイミングは、人それぞれ。思い立ったときが、その時なのではないでしょうか。
エンディングノートを書くメリット
エンディンウノートは、自分の財産分与など記載する法的な効力を持つ遺言書と異なり、自分の想い、希望を自由に書くことができるのが大きなメリット。例えば、自分の築いてきた預貯金、不動産といった財産を書き上げることで、自分の人生を振り返りながら、これらを整理していくこともできます。
また、整理していく中で、家族との出来事や、家族に対する気持ちを改めて認識することもでき、メッセージを残すことで、家族に自分の気持ちを託すこともできます。家族との対話が途切れていた人は、エンディングノートをコミュニケーションのツールとし、自分が旅立った後のこと等、話し合う機会を持つことができるようにもなります。
そして、何よりエンディングノートを書くことで、残りの人生をどのように有意義に過ごせるかを考えていくことができます。
実際にどんなことを書けばいいの?
エンディングノートに実際に書くことは、自分の人生の記録と考え、基本的には次のようなことを書き記しておきます。
-
生年月日、本籍地
-
趣味や特技
-
家系図
-
人生のターニングポイントやライフイベント
-
人生観や思い出
-
資産、身の回りの個人情報→預貯金や遺言書の保管場所、インターネットバンキングのパスワードやキャッシュカードの暗証番号といったもの
医療や介護関係について
特に自分が死を迎えるにあたり、末期の状態になった場合には、どのような最後を迎えたいのか、延命治療を受けるのか、受ける場合にはどの程度までの治療にするのかといった希望。また、認知症になってしまった場合、どういった介護を受けたいのか、施設に入るのであれば希望の施設なども記入しておくと家族への助けとなります。
無くなった後の葬儀や納骨について
どのような宗教の形態で葬儀を行うのか、葬儀の方法は通常のものなのか、密葬や家族葬にするのか、納骨はどのようにするのか、遺影に使う写真や喪主の指定などを書いておくと、自分の気持ちを優先した形で死後、送り出してもらえます。
遺品や相続について
法的な拘束力はありませんが、誰に何を残しておくのか自分の希望を書いておくと、残された家族は故人の遺志をくみ取り、争うこともなくスムーズに財産分与を進めることができます。また、処分に困るような遺品については予め遺品の処分方法を書いておくと家族に迷惑をかけません。
エンディングノートの書き方
それでは、実際にエンディングノートをどういう具合に書き進めていけば良いのでしょうか?具体的にその書き方についてお話ししていきましょう。
書きやすいところから書き進めよう
エンディングノートには、「これ」といったきまりはありません。「実際にどんなことを書けばいいの?」を参考にしていただき、まずは自分の書きやすい内容から書き始めて行けば良いでしょう。自分の名前、生年月日、そういった基本的なことを書いているうちに、自ら書き記しておきたいことが出てきます。
空欄部分があっても気にせず書き進める
参考にしていただいた項目について書こうと思っても、中には書き進めることができない内容もでてくるかもしれません。そんな時は気にせず、書けない項目は空欄のままでも構いません。どんどん、次の項目について書き進めていきましょう。
エンディングノートは一度に書ききれるものではありません。自分の気持ちはじっくり時間をかけて整理していくもの。空欄は後からいくらでも書き足していけば良いのです。まずは、自分の現在の気持ちを素直にかいてみることをおすすめします。
家族と話しながら書いてみる
自分の医療や介護、葬儀や納骨など、残された家族に託すことについては、家族と話しながら書いてみましょう。自分の気持ちが家族にもダイレクトに伝わり、エンディングノートに書き残したことを家族にきちんと理解してもらえます。
また、自分のライフイベントを書いていく上で、家族の存在は欠かせないもの。イベントごとの気持ちを家族とともに振り返ることで、その時の家族に対する愛情の深さを再確認することができ、絆も深まっていくでしょう。
エンディングノートの選び方
いろいろあるエンディングノート。次に選ぶ際のポイントをいくつかご紹介したいと思います。
書く項目をチェック
エンディングノートには書き出す項目がいくつかあります。これだけ書いておけば必要な要件は満たすことができるという最低限の項目数から、財産、医療、介護、葬儀等など様々な項目数があるものまで幅広くあります。自分がエンディングノートにどういった内容を書き残しておきたいのかを考え、その内容に適した項目があるかをチェックして選ぶと良いでしょう。
自分の人生の記録を残していきたい方には、自分の履歴について項目が充実したエンディングノートがおすすめですし、財産について書き残しておきたい方には、現預金・保険等の項目が充実したタイプ、自分の医療や死後のことについて書き残したい方には、医療・介護・葬儀・お墓等が充実したタイプをそれぞれ選ぶのがおすすめです。
解説の有無や量で選ぶ
いざエンディングノートを書き始めて見たものの、書き進めていく上で不明な点もあるかと思います。そういう時のために、解説がついたエンディングノートは大変便利です。エンディングノートに登場する用語解説が掲載されているものや、終活に必要な断捨離についての解説ヤコラムが掲載されているものとその内容は多岐にわたっています。
自分が本当に知りたい情報の解説が掲載されているエンディングノートを選ぶと、よりスムーズにノートを書き進めていくことができるでしょう。
そのほかの機能もチェック
最近は年齢を問わずSNSの利用者が増えています。ネット上のサイトに自分の思い出等を綴っている人も少なくはありません。また、写真や動画をメディアに保存している場合もあり、デジタル遺産と言われるのものも存在しています。エンディングノートの中には、そういったメディアの保管ケースが付いているタイプもあります。こういったプラスアルファはノートによって異なっていますので、購入されるときのポイントになります。
また、基本的なところで見落としがちなのが、ノートの罫線の有無、紙質など、自分がエンディングノートを書いていく上で書きやすいレイアウトになっているのかもチェックしましょう。
私の一押しのエンディングノートはこれ!
主婦と生活社 やましたひでこ著 よりよく生きるための断捨離式エンディング・ノート
出典: Amazon.co.jp
不要なものに囲まれて生活している方も多いのではないでしょうか?そこで、まずはエンディングノートを書くためにも断捨離からスタート!
このノートは断捨離で著名なやましたひでこさんが「終活」をわかりやすく説明しながら、どのように準備を進めていけば良いのかを解説しています。ノートというよりは解説部分が多いのでワークブックといった感じでしょうか。
エンディングノートを理解するために、また、これからの人生をよりよく生きていくために、まずはこのノートで事前学習することをおすすめしたいと思います。
エンディングノートおすすめランキングTOP10
最後におすすめしたいエンディングノートをランキング形式でご紹介しましょう。
第10位 宮下印刷出版部 もしもノート
出典: Amazon.co.jp
シンプルで安価なエンディングノート
必要最低限な内容を記入することができるエンディングノート。薄くて、字も大きく、見やすく書きやすいのが大きな特長。
エンディングノートってよくわからないけど、何かあったときのために、まずは必要なことだけ記入しておこうという場合におすすめ。ただ、そのシンプルさゆえ、記入していくうちに、あれもこれもと書き足したくなるかもしれませんね。エンディングノートのファーストステップとして利用してみるのもありだと思います。
第9位 エンディング研究会 もしもに備える安心ノート
出典: Amazon.co.jp
もしもの危機管理に役立つノート
こちらも比較的、薄くてリーズナブルなタイプ。
基本は今の自分の状況を記入していくことから始まります。そこに、もしも自分が病気になったら?、入院した場合は?、災害にあってしまった場合には?といった「もしも」が盛り込まれており、記入することで老後の自分や終活に向けての準備が整えてられて行く仕組みになっています。
今自分に考えられる「もしも」に備えられる危機管理ノートでもあります。
第8位 ナカバヤシ プレシャス エンディングノート ~私の大切なノート~
出典: Amazon.co.jp
大渕愛子弁護士監修、女性の書きたい!に応えたノート
ピンクのかわいいデザインで、順番でなくても書きたいところから始められる記入しやすいノート。大渕愛子弁護士の協力監修により、女性が書きやすい内容にまとめられています。保存性の良い中性紙が使われているので、早めから少しずつ記入しておくこともできます。
基本的なエンディングノートの項目や、大切な誰かに残すメッセージ欄が充実していることに加えて、自分自身の気持ちや考え方を整理するために記入する項目にも着目しているエンディングノートです。
第7位 二見書房 もしものときのエンディングノート
出典: Amazon.co.jp
文字が大きく書き込みやすくて、わかりやすい!
ある程度、年齢がいってからエンディングノートを書こうと思うと、文字が大きくて読みやすくないと書き込みも難しいというのが実情です。その点、このエンディングノートは、文字が大きく、また、書き込み部分も広く取ってあるので、書く方にとっても、読む方にとっても、見やすくわかりやすいというメリットがあります。
また、「もしものとき」のために知っておきたいことについてのコラムがついており、エンディングノートを書き込む際、どういったことについて書き込んでいけばいいのか参考になります。
第6位 日本ホームステージング協会 ディズニー マイストーリーノート もしもの時に家族を結ぶ
出典: Amazon.co.jp
ディスニーキャラクターが登場する自分史を中心としたノート
エンディングノートというと少々重い意味合いを持つものと考えがちですが、このノートはディスニーキャラクターを登場させることで、気軽に書き込みを始められる雰囲気を持っています。
自分のもしもの時に必要な「公的記録」「その他重要事項のメモ」「緊急時の際のメモ」といった基本的なことを押さえつつ、「自分史の整理」「この先の目標」といった過去の自分、この先の自分についての気持ちを書き綴ることができるノートとなっています。
第5位 宝島社 もしものとき、身近な人が困らないエンディングノート 令和版 (TJMOOK)
出典: Amazon.co.jp
40年ぶりの相続制度改正に対応したノート
もしもの時に、銀行口座、加入している保険、オンライン口座や動画のような「デジタル遺産」といった遺された人にとって必要となってくる情報をすべて記入できるノート。このノートをきちんと記入しておけば、緊急な時の届出等に対しても、慌てることなく対応できます。また、40年ぶりの民法改正にも対応している点も大きなメリット。
付録として法的に有効な自筆遺言セットも付いており、エンディングノートとはいえ、もう一歩先に踏み込んだ相続についても考えることができるノートとなっています。
第4位 主婦の友社 書いて安心 エンディングノート
出典: Amazon.co.jp
自分自身の情報をまとめておける「備忘録」的なノート
預貯金口座、保険・年金・クレジットカード番号、自動口座引き落とし、ローン、不動産、有価証券といったお金にまつわることを中心として、自分自身の医療・看護や介護、相続や葬儀・お墓の希望、重要な連絡先、ペットについてなど記入することがわかりやすく項目に分かれており、親しい人へのメッセージも記入できるようになっています。
病気になった時、遺言書を作成する時、介護が必要になった時、亡くなったとき等に必要になること等の解説も掲載されており、緊急時に手助けとなってくれるノートです。
第3位 リベラル社 一番わかりやすい エンディングノート
出典: Amazon.co.jp
終活セミナー受講者の声をもとに作成されてエンディングノート
3000人の終活セミナー受講者の声を反映させて作られたので、エンディングノートが初めての方にもすらすらと書ける内容になっています。順番に書き込んでいけば、最終的に終活が完成するという流れに沿った構成ですが、実際には自分が記入できるところから書き込んでもOKです。
取り扱いに注意が必要な暗証番号といった重要情報には、これらを保護する「マル秘カード」と「スクラッチシール」が付いているので安心して記録しておくことができます。
第2位 終活カウンセラー協会 終活ノート マイウェイ
出典: Amazon.co.jp
話題の一般社団法人終活カウンセラー協会が発行のエンディングノート
主に高齢の方を対象としているため、白内障のお年寄りのことを考え見やすいカラー、見やすい文字の大きさ、記入スペースとなっています。ノート自体は薄いですが、終活のために必要なことはきちんと記入できるような構成になっています。
このノートには、自分の振り返りや、家族や友人に向けたメッセージを書き込めるページがたっぷりあるのが大きな特長。自分の気持ちをもっと書き残しておきたいと思われる方に、2冊目のエンディングノートとして利用するのもおすすめです。
第1位 コクヨ エンディングノート もしもの時に役立つノート
出典: Amazon.co.jp
年齢を問わず、今日から書き始められるエンディングノート
銀行口座や保険、クレジットカード情報など、現時点の備忘録としても役に立つノート。なめらかな書き味で長期保存に適しているコクヨオリジナル原紙「コクヨ帳簿紙」を採用しているので、今からすぐにでも書き始めることができます。もちろん、もしもの時に必要な医療・介護、葬式、お墓、重要な連絡先についても書き込めるので、時間を掛けて終活の準備をしていくのにおすすめです。
デジタル情報が収納できるCDケースが付録に付いています。これに、家族写真や動画、自分の遺影とする写真などのデータを収録したCDを保存をしておくと大変便利です。
よりよい人生をおくるために
以上、エンディングノートについてお話ししてまいりましたが、その意義と必要性についてご理解いただけましたでしょうか?今を精一杯生きている現時点で、なかなか終活という気持ちには至らないかもしれません。しかし、エンディングノートを書いてみることで、これからの人生をどのように生きていけば良いのかが明確になっていくこと間違いなしです。
よりよい人生をおくるためのきっかけとして、ぜひ、エンディングノートを購入し、書けるところから始めてみてください。