「いつかはクラウン。」という有名なCMが流行語とばった1980年代、父が好んでいた影響も有り、中学生になったばかりの私は「いつかはウイングチップ。」だと思っていた。
当時はIVYのリバイバルでPOPEYEやメンズクラブなどの雑誌が情報源だった。欲しい靴はいろいろあった。先ずはやはりコインローファー、次はサドルシューズ。プレーントゥはマストだしデザートブーツにワラビー……そして、いつかはウイングチップ。
なぜ「いつかは」なのか。それは他の靴よりも値段が高かったのも理由のひとつだが、その佇まいが自分にはまだ早い気がしたからだ。
他の靴には見られないつま先や踵を覆う切り替えやそこに施された装飾などちょっと工芸品を思わせるデザインなど、車ならロールスロイスやベントレー(ここはクラウンではなく英国車で)、オートバイならビンセントといった特別なものをイメージさせた。
ウイングチップを履いて学生服なんて身分不相応、そんな感じさえ抱かせる靴だった。田舎者の勝手な思い込みの話なのだけれど。
しかし、ロックに目覚めた私は高校時代はコンバースで通し、上京して大学ではドクターマーチンやラバーソールを履いて過ごした。イギリスのバンドに熱を上げ身につけるものもMADE IN UKのものが多くなった。時代もすでにIVYではなくなってずいぶん経った。
そして働き始めた頃、さすがに会社でラバーソールを履いてわけにもいかず、またウイングチップが気になり始めた。
初めてのボーナスを貰い、思い切ってトリッカーズのウイングチップを手に入れた。
スーツを着る仕事ではないため、スエードにクレープソールのものを選んで購入した。もったいなくってなかなか履けなかったりもしたのだが、その分大切に使って20年たった今でもまだ現役なのだ。
商品としての満足度も高く。買って後悔のない一品だった。
今ではウイングチップのスニーカーなどもあり、昔ほど気負いもなく手を出せるものも多い。
老若男女いろいろなシーンでいろいろなウイングチップを楽しめるのはとても良いことだと思うし、ぜひおすすめしたいと思う。
ウイングチップって?
ウイングチップの特徴は先にも書いたように、その装飾にある。
つま先部分にはW(Wing)型の補強で覆われており(切り替えのものもある)、そこにはメダリオンやパーフォレーションまたはブローグと呼ばれる穴での装飾が施されている。踵部分も同様で装飾された皮で覆われて補強されている。
ウイングチップの起源はスコットランドやアイルランドで履かれていた労働用の靴が元になっていて、イギリスに伝わりハンティングの時などに使われるようになったようで、イギリスではカントリー・ブーツと呼ばれたりもする。特徴的な装飾も本来は通気用の穴だったもののようだ。
クラシカルな雰囲気があるが、切り替えがあるので、カラーバリエーションがあったり、カジュアルにもはきこなせるデザインが増えている。
ウイングチップの種類
ウイングチップの種類はいくつかに分けられるが、履き口が外に開き、ヒモで締めるタイプが外羽式(ブラッチャー)。イギリスではダービー型と呼ばれているもの。
靴の履き口がV字型に開き、ヒモで締めるタイプが内羽式(バルモラル)。外羽式よりもドレッシーなタイプで装飾が少なくなるほどドレス度はアップする。
つま先のW(ウイング)が踵まで繋がったものがあるが、アメリカに伝わり独自に変遷を遂げたものでロングウィングチップやアメリカンブローグと呼ばれる。
もう一つちょっと珍しいタイプだが、メダリオンなどの装飾がなく、つま先のWの切り替えをステッチなどで表したものもあり、ビジネス向きのブラインドフルブローグと呼ばれるものもある。
ウイングチップの選び方
基本的にはそのルーツからも言えるがカジュアルな要素が強いウイングチップなので、ビジネスやちょっとかしこまった時には内羽式やブラインドフルブローグを選ぶ方が良い。
飾りの少ないものの方がフォーマルに向いているが、冠婚葬祭の場合は避けた方が無難だと言える。
カジュアルな場面では外羽式のもので存在感をアピールして履きたい。スラックスだけじゃなくデニムなどにも合わせて、明るい色で楽しむのも良いだろう。
また、代表的なイギリスの老舗ブランドは王室御用達だったり、大統領がホワイトハウスに入るときにはくのアメリカンブランドだったり、歴史や格式の高いシューズメーカーがこぞって取り入れているのも特長。
映画で履きこなすジェームスボンドはまぶしすぎて参考にならないかも知れないが、そのコーディネートは大いに参考になる。
おすすめのウイングチップランキングTOP11
トリッカーズ バートン カントリー
出典: Amazon.co.jp
1829年創業、現在も創立者の子孫が経営する由緒ある老舗メーカー。ロンドンの直営店舗には、英国王室チャールズ皇太子御用達の紋章が掲げられ、その品質を証明している。
イギリス製外羽式の代表的なもので存在感もバッチリの伝統的なウィングチップ。
カントリーシューズというだけあり、耐久性の高いダブルソールで多少の難路はものともしない。
紳士靴の聖地イギリス・ノーザンプトンの中でも歴史の古いトリッカーズ。ハンドメイド・ベンチメイドで今でも昔と変わらない手法と技で丁寧に作られている。
トリッカーズ サイドゴアブーツ
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人気があるサイドゴアブーツ。編み上げのブーツよりは少しすっきりしたイメージ。
サイドのエラスティック(ゴム素材)により脱ぎ履きがとても楽なのがポイント。
レース(くつひも)がないので、ブーツでも甲まわりがスッキリとシャープな印象。
クラシックな雰囲気がありながらカジュアルで合わせやすい一足。
サンダース OLLY オックスフォード ウイングチップ
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1873年に設立された靴の聖地ノーサンプトン最後の老舗メーカー。イギリスのみならず各国の公的機関に靴を供給するブランドだけに、その信頼性は抜群。
多くの部材と手間をかけて作られる為、手入れさえしっかりと行えば一生履きこむこともできる逸品。
アウトソールにはグリップ力と優れたクッション性を備えたクレープソールを使用。カジュアルスタイルに合わせやすい色合いで、歩きやすい点も魅力の1足。
チャーチ内羽根フルブローグ BURWOOD
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こちらはイギリスのチャーチの内羽式。007ジェームズ・ボンドも愛用するブランド。外羽式よりもかなりすっきりしたイメージがある。
バーウッドが登場したのは、1950年代。以降、ブランドを代表する人気モデルとしてシャノンと並び君臨してきた。
オリジナルのポリッシュドバインダーカーフを使用しているので、雨にも強くお手入れも簡単とレザーシューズ初心者にこそおすすめしたい。
シンプルながら飾り穴の大きめのデザインは、クラシックな存在感のある佇まい。
オールデン ウイングチップ
出典: Amazon.co.jp
誰もが一度は履いてみたいと願う、最高級のシューズブランド。
革の宝石とも呼ばれるコードバンを使用し、履いて磨くほどに輝きを増す独特のエイシングに魅了されること間違いなし。
足になじむまでに時間はかかるのが、それゆえ育てていく楽しみも。
サイズは靴下をはいた状態で、ジャスト又はハーフサイズアップがオススメ。
独特の土踏まずやヒールカップで様々な足の形にも対応するといわれている。
アレンエドモンズ マクニール ロングウィングチップ
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こちらはアメリカ製ロングウイングチップで、歴代大統領や俳優など多くの著名人も愛用。
ブランドを代表するモデルの1つ 『MACNEIL / マクニール』は、 光沢のあるカーフレザーを使用した外羽根タイプのロングウィングチップモデル。
フォーマル過ぎないので、ジーンズ等のカジュアルなボトムスとも相性良し。「世界で一番豪華で履きやすい靴」の精神のもと作られているのでワイズも展開が豊富。自分の足にぴったりな一足が見つかるはず。
コールハーン LUNARGRAND WING NEOP
出典: Amazon.co.jp
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アメリカンスタイルを軸に、都会的でスタイリッシュなデザインと機能性を兼ね備えたシューズ&バッグを展開するブランド。
アッパーはクラシックなスタイル、ソールには「まるで月面を歩いているかのような」感覚を体感できるソールを採用。過去と未来が見事に融合されたユニークなデザイン。
素足で履いてもソフトな足あたりなので、カジュアル派にはうれしいかぎり。
ローク スローン ウイングチップ ブラック ホワイト
出典: Amazon.co.jp
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Royal Warrant(英国王室御用達)のブランドとして正式に認定された、1880年創業の伝統と信頼のブランド「Loake」。
ドクターマーチンのソールを使ったタッセル・ローファーが有名だが、ロイヤルワラント獲得のブランドだけに伝統的なシューズも秀逸。
デザインの切り替えに合わせた白黒のコンビは、カジュアルなのにクラシカルな雰囲気で品格さえ感じる。
ドクターマーチン ブローグシューズ ウイングチップ
出典: Amazon.co.jp
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1960年当時から労働者階級の足元を支えスキンヘッズ、モッズ、パンクスとユーズカルチャーの象徴として今も尚人気のシューズブランド。
ドクターマーチンといえば8ホールブーツがあまりにも有名だが、カジュアルなウイングチップとしては入りやすい一足。
ソールはもちろんドイツ人医師クラウス・マーチン開発のエア・ソールで履き心地は折り紙付き。
渋いトーンのチェリーレッドは、コーディネイトのアクセントにも。
リーガル ウィングチップ
出典: Amazon.co.jp
日本が誇る革靴メーカー。学生時代や、社会人デビューで、初めての一足として選ぶ革靴はリーガルという人も多いのでは?
木型には幅広の日本人の足に近いモノを使っているため、海外メーカーと比べると、いつものサイズよりハーフからワンサイズ下を選ぶのがベター。
取扱店舗も多く、アフターケアも国産メーカーならではの安心感がある。
ヒロシツボウチ ウィングチップ HTO-AD05
出典: Amazon.co.jp
靴の基本的な考え方は「革靴×スニーカー」という坪内浩が手掛けるスタイリッシュなデザインのハイブリッドシューズ。
トラディショナルなアッパーデザインと軽快なスニーカーソールを組み合わせ、トリコロールカラーというポップなウイングチップは目立つこと間違いなし。
普通だけど当たり前でないスタイリング、懐かしいけど新しい風合い。 カジュアルにはエレガンスを、エレガンスにはカジュアルなタッチを。というコンセプトに共感する芸能界や著名スタイリスト、デザイナーなど多くのファンを持つ。
メイド・イン・ジャパンの技術と高いクオリティが凝縮されたウイングチップ。
まとめ
私はがウイングチップを入手するには、だいぶ大人になってからだが、今ではウイングチップのスニーカーなども増え、気負いもなく手を出せるものも多い。
老若男女いろいろなシーンでいろいろなウイングチップを楽しめるのはとても良いことだと思う。
みなさんもぜひチャレンジしておしゃれの幅を広げてみください。