今回は、イラストやマンガを描くときに、ほとんどの方が使用されているであろう、つけペンインクについて、ご紹介させていただきます。
ペン先はどれを使ったらいいのか、インクは何から使ったらいいのか、何が違うのか、誰かに聞きたいけど、その人の絵と自分の描きたい絵は違うし・・・などなど、私自身も当初はいろいろと迷いました。
私の場合、鉛筆でマンガを描いていたところを、とある編集者さんからお声をかけていただき、画材についてほぼ知識のないまま、マンガを描くことになり描き始めたのですが、その知識のなさが、「斬新」だということで、連載につながりました。
それまで、マンガを読むことよりも、好きな小説を読んで自分なりに鉛筆で自由画帳にマンガにしていくことの方が多かったですが、萩尾望都先生の作品と魔夜峰央先生のパタリロだけは、よく読んでいました。しかし、本当にそのくらいの知識だったので、素人が突然描き始めるというレベル。
ただ、小説だけは沢山読んでおり、その世界観を自分なりにマンガで表現する、ということを繰り返していたので、当時有名だった漫画家さんとは違う表現をしていたとは思います。そこからはもう必死で手探りするばかりでした。
手あたり次第、マンガ用の画材だと教えてもらった商品を試しては失敗し、その連続。何度も挫折しそうになりました。筆ペンをマンガで使うことも知らないような状態でした。今、考えると、根気よくお付き合いいただいた、当時の編集さんに頭が上がらないばかりです。
マンガやイラストに必要な画材
ここでは、マンガやイラストを描くに当たって、これだけは必須アイテムというものをご紹介します。(下書きに必要なシャープペンシル・鉛筆・消しゴムははぶきます。)
これがないとはじまらない用紙
マンガやイラストにはマンガ用の原稿用紙が主に使われます。カラーの場合は無地の商品、それ以外のときは目盛りの入った商品が使われます。140gが主流となっています。イラストの場合は、稀に原稿用紙以外の商品を使用することで独特の風合いを出すことがあります。
下書きにペンを入れるのための画材
これは大きく分けて、二種類あります。
まず一種類目ですが、ボールペンとマジックの中間のようなタイプのペンです。代表的なのはペン先の太さが選べるコピックあたりでしょう。シグマというものもあります。
そして二種類目、ペン軸にペン先をつけて、インクにつけてから描くペンです。イラストだけではなく、カリグラフィー(日本でいう書道のようなローマ字を書くもの)などにも使われます。
つけペンインク
これは前項目の二種類目の、ペン軸にペン先をつけて描く場合のためのインクです。こちらも大きく分けると、証券用と製図用とに分類されます。今回はこのインクについて、後半で詳しくご説明をさせていただきます。
スクリーントーン
マンガやイラストで使用される、網点やカケアミ、今日では風景などの様々な模様柄など、様々なパターンが商品があります。スクリーントーンは、粘着フィルムを切り抜いて絵に貼りつけ、原稿上で色の濃淡や背景・衣服の柄などを表現する商品です。ICスクリーンやデリータスクリーンなどが有名です。大きさも違っているので、カタログ買いをされる方は、大きさも気を付けましょう。
カッターナイフ
原稿の一部を差し替えしたい場合や、スクリーントーンの切り取りなどに使います。普通のカッターナイフと、スクリーントーン専用のものがありますが、使用方法のコツさえつかめば、普通のカッターナイフで充分です。
定規(ものさし)
主にマンガでの枠線を引くときに使用します。イラストの中でも直線を引くときに使用します。マンガやイラストでの独特の使い方として、定規の表側を下にすることによって、目盛りが書いてあるナナメになっている部分をあえて逆さにすることにより、インクの滲みを回避するように使います。
筆ペン
背景を広範囲で黒く塗るベタと呼ばれるとき、黒髪などにツヤがあるように見せる塗り方のツヤベタなどのときに使用します。太さにも種類があります。通常のベタのときは後範囲を塗るので普通の太さの商品、ツヤベタなどの細かい作業のときは極細の商品が使われます。
ティッシュペーパー
え?と思われるかもしれませんが、インクを使用するに当たって、これはマストアイテムです。ペン先を拭くためにも必須ですし、原稿用紙の滲み対策としても使いますので、マストアイテムです。
つけペンインクの種類
それでは、今回の本題に入ります。(一部、Wikipediaを引用させていただいております)
インクの定義
まず、現在においてのインクはWikipediaではこのように定義されています。
顔料・染料を含んだ液体、ジェル、固体で、文字を書いたり表面に色付けするために用いられるものの総称です。油性、水性などの種類があり、筆記や印刷で用いるものはインキと呼ぶことがあります。日本や中国で古くから使われている墨もインクの種類の一つです。Wikipediaより
インクは大きく分けて、証券用、製図用とに分けられますが、マンガやイラスト用には漫画専用のつけペンインクがあります。
インクの特徴
油性インクと、水性インク、水性顔料インクの3種類に分かれます。
それぞれのの特徴として、以下のような点が挙げられます。
油性インクは未時間未使用のまま保存するとインクが固まってしまうので、ペン先にこびりついてしまうこと、水性インクは保存には優れているますが水に濡れると滲んでしまうので水彩や水を多く含むモノに使えない弱点があります。水性顔料インクが長期の保存に耐え、水に濡れても滲みにくくいため、水洗いで落とせるなどといった利点を持っています。Wikipediaより
ですので、一番使いやすい商品で選ぶなら、水性顔料インクだといえるでしょう。
製図用インクと証券用インク
マンガ用インクが開発される前に、この二種類が主流とされていました。
いずれもパイロットのものです。
製図用インクの特徴としては伸びが良いですが、耐水性に欠けています。証券用インクは伸びの良さは製図用に少し劣りますが、耐水性にたけているのが特徴です。
つけペンインクで代表的なブランド
パイロットコーポレーション、開明、呉竹が代表的なブランドだと言えるでしょう。その他のインクでも優れたものがありますので8選の中でご紹介させていただきます。
漫画用つけペンインクの選び方
使用される方によって、選び方としては大きく分けて6つになるかと思います。
価格(コストパフォーマンス)で選ぶ
高いものを買って失敗するのは、誰でも嫌なものです。ですので、価格は大きな基準といえます。コストパフォーマンスのインクの種類で選ぶ
証券用、製図用、コミック用といった種類がありますが、どれがご自分の描きたい絵に合っているかで選ばれるのは大切なことです。
使用するペンの種類で選ぶ
ペン先で有名なものとして、Gペン・丸ペン・スクールペン等がありますが、カリグラフィーなどに使用する特殊な形状のものもあります。用途や描きたい対象物の風合いに合わせて、ペン先に合ったインクを選ぶことも大事です。
耐水性・速乾性で選ぶ
耐水性と記載してあっても、速乾性がおいついていないと、あやまってペン入れをしたばかりの用紙を重ねてしまったりすることがあります。その際は耐水性だけではなく、速乾性も必要となります。ただし、速乾性の高い商品はペン先についたインクも乾くのが早いので、気を付けなければならない点となります。
漫画用つけペンインクおすすめランキング8選
正直なところ、どれが正解というのは特にないと思います。使用用途が趣味であれば価格で選ばれてもいいと思いますし、追及しはじめると正直、キリがないです。ですので、私なりに8選、オススメをご紹介させていただきます。
第8位 ニッカー コミック耐水性インク
出典: Amazon.co.jp
価格は500円程度。耐水性ですし、どのペンでも滑りが良いです。消しゴムにも強いです。ですが、いかんせん認知度が低いのか、あまり使用されている方を見かけません。コミック専用ということなので使用したことがあるので、選ばせていただきました。価格もお手頃なので、お試しされてもいいと思います。
第7位 アイシー コミック スーパーブラック
出典: Amazon.co.jp
価格は550円程度。耐水性となっていますが、滲むことがあるということで、私は一度使用したきり使用していません。消しゴムにも弱いと思います。あとは商品の形状として、蓋を開けるときに片手では難しいということろも難点だと思います。ですが、黒色の発色がとてもいいのが特徴です。一度、使われてみてもいい商品だと思います。
第6位 アートカラー 漫画インク ハイグレード
出典: Amazon.co.jp
価格は650円程度。ハイグレードでないダウングレードのものもありますが、価格的にあまり変わらないので、ハイグレードを推奨します。消しゴムにも強いですし、マーカーにも強いものです。カラーに向いていると思います。発色も綺麗です。
第5位 パイロット インキ製図用
出典: Amazon.co.jp
価格は900円程度です。製図用の王道です。絵を描かれる人は、若干黒が薄いと感じられる方がいらっしゃるかと思います。とりあえず持っていて損はないとは思いますが、安さを重視される方は、王道とはいえ、こちらの商品でなくてもいいかな、と思います。あと、若干消しゴムに弱いところがあります。耐水性にも欠けています。
第4位 イロット インキ証券用 INK-30-DO
出典: Amazon.co.jp
価格は800円程度。証券用の王道です。証券用となっていますが、私は製図用よりもこちらを選んで使用しています。コピックでも滲まないところがとっても便利です。テクスチャも柔らかめです。耐水性には製図用よりもこちらの方が向いています。プロの方も製図用よりもこちらを選ばれている方が多いです。
第3位 呉竹 インク 漫画ブラック
出典: Amazon.co.jp
価格は550円程度。小さいのでコスパを考えてこの順位にしました。モノクロで描かれる滲まなないですし、乾きが早いです。消しゴムにも強いです。ただし、コピックでカラー色塗りをされる方には向いていません。耐水性ですが、アルコールには弱く、滲んでしまいます。細かい線を描いていく私のペン入れにはマストアイテムです。
第2位 開明 まんが墨汁
出典: Amazon.co.jp
価格は500円程度。パイロットの製品と容器の形状が似ています。開明のものなので、黒さはしっかりとしています。乾きも早く、消しゴムにも強いです。テクスチャとしては、少し固まりやすいところが難点といえば、難点ですが、ティッシュペーパーをうまく使用すれば問題ないと思います。
第1位 開明 ドローイング ゾル
出典: Amazon.co.jp
価格は550円程度。ドローイングゾルというだけあり、描き味はとってもいいです。本体の割りに口が小さいところで好き嫌いがわかれています。乾きもいいので、少年漫画などでGペンを主に使用される方には特にオススメです。コストパフォーマンスもいい商品です。プロの方がよく使用されている商品の一つです。
私のマストアイテムはこれ!漫画用つけペンインク等
常に作業用として置いている商品をご紹介します。
上記でご紹介させていただいた8選のうち、常時3点、マストアイテムとして使い分けています。
一番左側がティッシュペーパーです。よく街頭で配られている袋のものを取り出して、容器を移し替えて使っています。ペン先がインクで固まらない間に拭き取るように、常にインクの隣に置いています。
そしてその右側が呉竹ブラック、その次がパイロットの証券用、そして開明のまんが墨汁です。今はこの3点を用途によって使い分けています。
スカイブルーのペン軸を丸ペン用として使っています。黄色いペン軸はどのペン先でも使えるデリータのペン軸ですが、丸ペンをメインで使用する私には、ほぼ飾りに近いです。
そして、手前にあるケースに入っているのが、ゼブラと日光の丸ペンのペン先です。丸ペンのペン先も、使い分けています。
まとめ
ずらずらといつものように書いてきましたが、つけペンインクの使用方法で大事なのは、マメにペン先を拭くことです。強く拭くと、ペン先をいためてしまうので、適度な力加減が必要です。
私の絵の特徴では、とにかく細い線を丁寧に描く、というところです。アイキャッチ画像の絵は、8センチ程度のものです。眉毛と目には特にペン入れに気をつけています。
あとは筆ペンも、細かい作業です。締め切りが迫っている場合は修羅場となります。ですので、時間に追われているときは、消しゴムかけをしなくてもいいように、下書きをシャープペンシルの芯をブルーにして描きます。そうすると消しゴムをかけなくても印刷に写りません。
とにもかくにも、デッサン同様、描きまくって、ご自身に合ったペン先とつけペンインクを見つけるしかありません。根性論です。根気がないと何もはじまりません。
特にマンガはページ数もありますし、キャラクター設定と内容次第で、どこまで納得がいくものを描けるかも変わってきてしまいます。ベストな状態のものを維持するためにも、描きやすさと速乾性はとても肝心なことになります。
この記事が、少しでもみなさんの近道または、迷われてる方のガイドラインになれれば、幸いです。
そして、なによりも、楽しく絵を描いていきましょう。