画板を初めて知ったのは、小学校の教材として購入してもらった時です。思えばほかの教材に比べて、あまり使う機会のなかった印象もありますが、絵を描くこと自体は好きなので、卒業後も捨てずに保管してもらいましたね。
今はイラストも全部コンピュータで仕上げてしまう方も多いでしょうが、アナログアイテム好きなら画板は持っておいて損はないアイテムだと思います。改めてどんな使い方ができるのかを見てみましょう。
画板とは
画板は読んで字のごとく、画を描くための板で、分かりやすく言えば下敷きです。机など平らな環境が用意できない時に紙の下に置き、安定させるのが主な役割。
多くは紐がついており、ショルダーバッグのように肩にかけて使えますから、画板そのものを置く場所がなくても問題ありません。
スケッチでの画板はどのような存在?
紙を置く場所がない所で重宝する画板は、特にスケッチやデッサンなど、下絵の段階で活躍します。基本的に下絵はモチーフをきちんと確認しながら行うはず。
しかし風景や自然の植物など、野外で写生を行う場合は紙をきちんと安定させる場所がありません。
そんな時に便利なのが画板。肩紐が付いていれば、自分にかけるだけで絵が描けます。紙をペラペラな状態にせず固定し、作業を支えてくれる存在なんです。
また細かい描写が必要な作品の場合、壁などに立てかけて全体像を把握するのにも役立ちます。ペラペラの紙では、壁に立てかけることすら不可能。細部と全体の調整をするにも、画板は必要なんです。
画板の使い方
画板の正しい使い方
画板の使い方は上でも触れているとおり、まず壁など安定した場所に立てかけるか、紐を使って自分で固定させます。位置が決まったら上に絵を描く紙を置き、画板に備わっているバインダーや、クリップなどで固定して完成。
紙及びバインダーの種類によっては、ティッシュなどを緩衝材にして、紙がよれてしまうのを防ぐことも大事です。完成品に折り目や凹みがあったら嫌ですものね。
また壁でなくとも、油絵などに使うイーゼルへ立てかけることもできます。紙はただイーゼルに置いても曲がってしまうので、画板で支える必要があります。
画板の紐の通し方
肩掛けの紐は、画板によっては購入時に別々になっており、自分で通す必要があります。自分の体に合う長さ調節なども必要なので、以下の手順で行ってみてください。
Step1:紐は画板の4隅の穴のうち、左上と右下、あるいは右上と左下の斜めに向かい合った組に付けます。穴が2つしかない場合はその穴に紐を通しますが、上側が利き手と逆になるようつけると描きやすいので、右利きなら左上、左利きなら右上を使いましょう。
Step2:画板はショルダーバッグのように肩に掛けるため、長さは画板の斜めのサイズではなく、左肩から右わき腹を通せるだけの長さを確保しましょう(左利きの場合は右肩から左わき腹)。実際に、どちらか一方の端に紐を結んだ状態で画板を持ち、体の後ろを通ってもう一方の端に紐を伸ばしてみるとわかりやすいです。
Step3:もう一方の紐はまだ結ばず、角度を調整しましょう。画板は肩に掛けた時に絵を描きやすい角度でないといけません。地面と平行になる位置を目安に、自分が描きやすい角度を探します。ちょうどよい角度になったら、その長さでもう一方の端を結んで完成です。
画板の水張りの方法
木製の画板であれば、水彩画などに役立つ水張りが可能です。画用紙など、描く紙を画板にぴったり貼り付ける方法で、たわみを防ぐための手段でもあります。
用意するものと手順
まずは画用紙や画板のほか、水張りテープに刷毛、また水を入れる筆洗のような容器を準備します。
手順は初めに、水張りテープを画板の四辺よりもやや長めにカット。続いて画用紙の裏面に刷毛でたっぷり水を塗ります。たっぷり水を塗ったら数分そのまま。画板と画用紙の元の大きさが同じならば、乗せた際に画用紙が水を含み、四辺が画板からはみ出るぐらいが目安です。
中の空気は抜いて乾燥はじっくり
今度は水張りテープに水を塗り、画用紙のはみ出た部分を覆うように貼り付けていきます。順番はどこでも構いません。その際画板と画用紙の間の空気を抜くように貼りましょう。手が汚れている場合は、ガーゼなどを使うと画用紙が汚れません。
最後に乾燥させて終了です。可能なら一晩はそのままにしておきましょう。乾いたときに、画用紙が全体的にピント張っていればOKです。
画板の選び方
画板は画用紙などの下敷きにし、絵を描きやすいようにする道具ですが、その種類は多岐にわたっています。どんな絵を描くのかなど、自分の目的に見合う画板を選びましょう。
素材から選ぶ
まずは画板の素材です。主な種類は紙・プラスチック・木の3パターンが存在します。
紙製(カルトン):重いけど頑丈
まずは紙製。紙を支えるために必要なのに、紙で作るなんて…と思うかもしれませんが、画板に使われている紙は厚紙を重ねて作られており、きちんと固定してくれます。
安定さは抜群ですが、時にプラスチックや木の画板よりも重くなるのがデメリット。特に持ち歩きや、野外でのスケッチなどで使いたい方は苦労するかもしれません。また紙には変わりないので、筆圧が強すぎて凹ませてしまったり、水に濡らさないよう注意しましょう。
プラスチック製:持ち運びに便利
紙とは反対に、画板の中で最も軽いのはプラスチック素材の商品です。素材の中で唯一水のダメージが無いタイプでもあり、鉛筆でのスケッチだけでなく、水彩絵具なら作品を画板に取り付けたまま、仕上げまでこなせます。万一絵具がついても、水洗いできるため綺麗にしやすくメンテナンスも楽です。
ただ軽い分、時に安定さに欠けることがあります。自分の肩にかけている場合は画板ごとずれないよう注意。また衝撃には弱いので、力を入れて叩いたりしないように。
木製:平均ゆえにどんなシーンでも使いやすい
木製の画板は結論から言ってしまうと、紙製とプラスチック製の間に位置するような存在です。紙よりは軽く、プラスチックより安定するので良い所どりな反面、水分で歪んだり、着色汚れが染み込んでしまったりとダメージを受けやすい素材でもあります。
鉛筆など下書きをメインとし、屋内外問わず利用したい時におすすめです。
サイズで選ぶ
続いては画板のサイズ。既に描きたい作品の大きさが決まっているなら、それ以上のサイズの画板を選びましょう。未定の方、様々なサイズを検討している方は、以下の目安を参考にしてみてください。
全判:四六判なら788×1091mm。紙そのままのサイズを意味し、下記の四つ切などに裁断していないもの全般を指す。
中判:560×760mmが多い。全判を大とした場合に中くらいのサイズという意味。
四ツ切:392×542mm。B3より少し大きく、小学校で使う画用紙に多い。
F6:410×318mm。Fはフィギュアの略で、人物画などに適したサイズ。数字は号数で数が増えるほど大きくなる。ほかにP(風景)、M(海景)、S(正方形)がある。
A4:210×297mm。プリントやノートなどにも見られるサイズ。
重さ
素材のところでも触れましたが、紙>木>プラスチックの順で画板の重さは変化します。また素材や厚さが同じであれば、大きいほど重くなるのもポイント。
ゆえに持ち歩くことが多いなら軽めの画板をおすすめしたいところですが、軽すぎると安定さに欠ける点は注意しましょう。可能であれば実際に画板を手に取ってみるか、あるいは同じ重さの荷物を持ち歩くなどして確かめ、長時間持っても耐えられる、疲れにくいと感じる重さがベターです。
画面の硬さ・剛性
画用紙などの下敷きとして使う画板は、表面の硬さ(剛性)も重要です。柔らかい下敷きではノートもきちんととれませんよね。硬さにおいても、素材の中では紙製の画板が1つ抜きんでています。
ただ硬いだけでなく、ほどよくクッション性も併せ持つのが紙製画板の魅力。硬いだけの画板の場合、画用紙など上に乗せている紙が破けたり、鉛筆などの筆記具が折れてしまうこともあるからです。ただ硬さ・柔らかさにおいては、利用者の筆圧などとも絡む問題ですから、こちらも試せるなら購入前に確かめてみましょう。
便利な機能をチェック
折りたたみ:大きい画板もコンパクトに
画板の中には、折り畳み可能な商品もあります。広げた時のサイズが大きい画板も持ち歩きや保管が容易となりますから、大きい絵画を描くのが目的という方に向いています。特に紙製やプラスチック製の画板に多くみられる機能です。
クリップ付き:風対策に便利
屋外で画板を使う際に気になるのが風です。風の強い日は、手で押さえていないと紙が飛んで行ってしまいます。そんな時に便利なのがクリップ。大きなクリップを別に購入するのも良いですが、画板の中には予め備え付けのクリップがあるタイプも存在。
画板に見合うよう作られていますから、別売のクリップを求めるより利用しやすく、使わない時も邪魔になりません。
肩掛け:手ぶらで作業・持ち歩き可能
画板のイメージとして一般的な肩掛け機能ですが、全ての画板にあるわけではありません。肩掛け機能がない画板の場合、三脚など台の代わりになるものがなければ、手で持たなければいけないのがデメリットです。
しかし肩掛けができれば、両手を自由に使えます。片手に筆、片手にパレットの持ち方はもちろん、移動時の持ち歩きもほかの荷物を持てる余裕が生まれます。
作品を収納できる機能:完成品を汚さず保管
また画板の中にはポケットなどが搭載された商品もあり、そこに絵画を収納することができます。クリップで固定したまま画板ごとしまうという手もありますが、むき出しのままでは折れ曲がったり、汚れや破れてしまう可能性も高いです。
収納スペースのある画板ならば、そこに入れておけば安心。折りたたみ機能も併せ持ったタイプならば、内部に収納スペースが設けられていることもあり、より作品の保護に向いています。
子供はどの画板の大きさまでなら使用できる?
画板はサイズも複数存在。もしお子さん向けに選ぶなら、四つ切りと表示されている画板がおすすめです。小中学校の図画工作では、4つ切りやその半分の8つ切りサイズがメイン。
もちろん学校の教材として指定された画板優先ですが、夏休みの課題など家で使うなら目安として覚えておきましょう。ちなみに4つ切りはB3、8つ切りはB4サイズより一回り大きいサイズです。
おすすめの画板ランキングTOP10
最後に、おすすめの画板をランキング形式でご紹介します。
第10位 クレサンジャパン シナベニヤパネル
出典: Amazon.co.jp
材質 | シナベニヤ | 付属品 | – |
使用紙サイズ | A3、A5、P4など | 本体サイズ | 42×29.7cm |
まず10位は、画板…というよりシンプルなベニヤ版です。と言っても1枚板の状態ではなく、油絵の裏面などに見られるパネル状になっています。肩掛けなどに使う場合は、穴をあけるところから始めなくてはいけませんが、一方で水彩画用の水張りなどは行いやすいタイプです。
パネルの枠などは耐水性の接着剤でつけられているため、水張りを行ったことでパネルが壊れるといった心配もありません。ちなみにサイズはA3向けのほか、Aは1から5まで、またP4~30を選ぶことも可能です。
第9位 マルマン 全判 カルトン(ダブル) PF900
出典: Amazon.co.jp
材質 | 紙 | 付属品 | – |
使用紙サイズ | 全判、木炭紙判 | 本体サイズ | 53.5×68.1cm |
9位はマルマンのカルトンです。こちらも肩掛けはできませんが、紙をしっかり固定できることや紙製ゆえの安定さがある画板です。商品として画板である点からも、10より上にしました。
サイズは全判、デッサン向けの木炭紙を使う方におすすめです。大きさもあってか重さもあるので、頻繁に移動させる場合は注意しましょう。値段はやや高め、収納など特別な機能はありませんが、その分シンプルで使いやすい画板と言えます。
第8位 デビカ 画板 グリンピース画板 023306
出典: Amazon.co.jp
材質 | ベニヤ版 | 付属品 | 紐、クリップ |
使用紙サイズ | 四ツ切 | 本体サイズ | 58.1×44.2×1.2cm |
9位のようなシンプルさに、肩紐を同梱したのが8位の画板です。天然のベニヤ版ゆえ、画板表面は商品ごとに木目などの違いがあるのも特徴。シンプルながら単一デザインにならないのはおしゃれでもあります。反面木目の違いまで好みで選ぶことは難しいので、人によって差が出やすい点に注意しましょう。
使用紙サイズは四ツ切で、肩紐を通せばお子さんの写生などにも使いやすいです。水張りをした上で使いたい方にも向いています。
第7位 デビカ 画板
出典: Amazon.co.jp
材質 | 発泡PS、PP | 付属品 | 紐、クリップ |
使用紙サイズ | 四ツ切 | 本体サイズ | 58×44×1.2cm |
7位は8位でご紹介したデピカの、プラスチックタイプです。8位と同じく四ツ切用ですが、若干こちらの画板の方が小さくなっています。プラスチック素材ということもあって400gほどと軽く、持ち運びに便利。ほかの教材など、荷物が多いお子さんの登下校にも負担となりにくいです。
木材の画板とはことなり、上部には取っ手がついているのも特徴。肩紐を通して手ぶらで持つだけでなく、取っ手を握って持ち運ぶこともでき、その時その時で移動させやすい持ち方が決められます。
第6位 学校教材の専門店 美工社 ボード画板 四つ切 B01-0226
出典: Amazon.co.jp
材質 | MDF | 付属品 | 紐 |
使用紙サイズ | 四ツ切 | 本体サイズ | 57.5×44×0.4cm |
6位は、再び木を使った画板。ただしこちらはベニヤ版などではなく、MDF(中密度繊維版)と呼ばれる頑丈な素材を採用しています。厚みは4mmほどと薄めですが、少しのことでは破損しにくい丈夫さが魅力。加えてコスパもよいので、お試し感覚での購入や、急に画板を用意しなければいけなくなった場合にもおすすめです。
絵画はもちろん、日常の筆記などテーブルの代わりとしても使われているほど。また表面な滑らかで、筆記具をスムーズに走らせることができます。
第5位 KOKUYO クリップボードH ヨハ-H93NDM
出典: Amazon.co.jp
材質 | 再生ABS | 付属品 | クリップ |
使用紙サイズ | A3 | 本体サイズ | A3 |
まずはKOKUYOの画板。厳密にはクリップボードなのですが、A3サイズであることや、紐を通す穴を開けることが可能ゆえ、画板代わりに利用されてもいるようです。
ただA3はB3に比べて小さめ。4つ切りサイズの画用紙は使えない点に注意しましょう。学校用としては不可かもしれませんが、プライベートであればお子さんの利用も可能です。
第4位 Moonlove 折りたたみ画板
出典: Amazon.co.jp
材質 | ポリエステル | 付属品 | ショルダーベルト |
使用紙サイズ | 八ツ切 | 本体サイズ | 40.×30.5㎝ |
続いては8つ切りサイズかつ、折りたたみ機能が備わっている画板です。ただし開いて4つ切りサイズの紙でも描けるというのではなく、内部に画材をしまえるポケットが付いているタイプ。
画板以外に筆記用具などを持参する必要がないので、移動時は便利ですね。小学校用としても使え、お子さん用にも重宝します。プラスチック製ですから、汚してしまった時の対処も楽です。
第3位 サクラクレパス プラスチック画板 EGS-G3
出典: Amazon.co.jp
材質 | PP、紙 | 付属品 | クリップ |
使用紙サイズ | 四ツ切 | 本体サイズ | 44×58cm |
サクレクレパスでは4つ切りサイズの画板がおすすめ。画板自体にクリップが備わっているので、別途用意する必要はありません。また裏面にはもう1枚紙を挟んでおけるゴムが付いているので、連続して描きたい時や、失敗時の予備用を入れるのに便利です。
肩掛け紐も備わっており、410gという軽さもあって、お子さんの利用もしやすいですよ。
第2位 アーテック 画板S 11130
出典: Amazon.co.jp
材質 | しなベニヤ | 付属品 | 紐 |
使用紙サイズ | 四ツ切 | 本体サイズ | 45×60×0.55cm |
2位はアーテックの画板です。Sサイズとなっていますが、45cm×60cmゆえに4つ切りでもギリギリ収まるサイズ。木製で肩ひも付きゆえ、持ち歩き、お子さんの利用にもおすすめです。
素材はベニヤ板なので、水などのダメージにのみ注意してください。
第1位 ぺんてる 画板 軽量タイプ 4つ切り用 ZSG1-2N
出典: Amazon.co.jp
材質 | 紙、ポリプロピレンなど | 付属品 | 紐、名前シール |
使用紙サイズ | 四ツ切 | 本体サイズ | 58.3×42×1.1cm |
1番おすすめなのは、ぺんてるの軽量画板。4つ切りが収まるサイズに加え、400g未満で負担少なく持ち運べます。肩紐や名前シールが付いているので、お子さん用にも使いやすいです。
素材は紙がメインとなっていますが、ポリプロピレンやポリ塩化ビニール、発泡スチロールも混合。紙製は重いとしましたが、ほかの素材を取り入れることで軽くしているんですね。
画板で絵画をもっと楽しく!
いかがでしたか?画板は紙を安定させることが難しい場所で絵を描くのに適したアイテム。自宅の中だけで描くのではなく、たまには外に出て、リアルな自然を描いてみるのも楽しいですよ。
お子さんの夏休みの課題に迷っている方にもおすすめ。お子さん用を探すだけでなく、一緒に絵画を楽しんで、親子の絆を深めても良いのではないでしょうか。