メルロー種はカベルネソーヴィニヨンなどとブレンドされた形で飲むことが多く、メルロー種だけで飲むことはほとんどなかったように思います。それが、メルロー種100%のワインを飲んでみると優しくてまろやかな味に引き込まれました。
ワインはどの品種を飲んでもそれぞれの魅力があり、どれが一番かと聞かれると迷ってしまうのが本音です。派手さはないけれど高質なブドウから作られるメルロー種ワインは一番にその筆頭の品種だと言えます。
メルロー種ワインとは?
フランス南西部ボルドー原産でフランスでは栽培面積が一番多い赤ワイン用ブドウ品種です。最初はカベルネソーヴィニヨンやカベルネ・フランとのブレンド用の二流品種として扱われていました。
しかし、今では最高品種のワインを提供するシャトー・ペトリュスのワインが1960年代にニューヨークの有名レストランに見出され著名人に気に入られたことで人気品種となります。
さらに、サンテミリオンのシャトー・ヴァランドーが収穫時期を完熟直前まで引き伸ばし、手間をかけた造醸方法で高品質のメルロー主ブドウを作り出したことで評価がさらに上がりました。
そして、近年になって造醸コンサルタントでフライング・ワインメーカーというニックネームを持つワインコンサルタントのミシェル・ロラン氏がリブネル地区で新しい醸造技術を取り入れ新しいメルローワインを造り上げました。彼のワインは濃縮感のある果実味にボリューム感があるボディと香りの強さが特徴です。このワインが人気を博して、メルロー種はさらに人気品種となり世界各地で作られています。
この成功を機会にボルドーではワインコンサルタントがワイン造りに影響をもつようになりました。このように急激に人気を得て価格が上がる商品をシンデレラワインと言います。メルローはシンデレラワインによって盛り上がったと言えるでしょう。
メルローは病気や寒さに強いので寒冷地でも栽培されています。栽培地域としてはフランス以外にアメリカ・チリ・アルゼンチン・オーストラリアなどの新世界の他に高温多湿でカベルネソーヴィニヨンやピノノワールが作りにくい日本でも長野・山梨・北海道などで栽培され良質のワインが造られています。
メルロー種ワインの魅力とは
色が濃く口当たりはベルベットのようになめらかで、プラムやブラックベリー・カシス・ブルーベリーなどの香りを持ちクセが強くなくまろやかで、土っぽさがありミネラルを感じさせる味わいながらタンニンは強すぎず飲みやすいワインです。と続けさまに良さを並べましたが一口で言うと「濃縮感のある果実味と口当たりのなめらかさ」がメルロー種ワインの魅力と言えます。
そのため、カベルネソーヴィニヨンとブレンドとブレンドするとカベルネソーヴィニヨンの強さを和らげバランスの取れたワインになるので今でもブレンド用ワインとしても重用されています。また、カベルネソーヴィニヨンに近い味わいですが、より軽く柔らかなタンニンとフレッシュな酸味を持つカベルネ・フランとブレンドされることもよくあります。
メルロー種は早熟でカベルネソーヴィニヨンより1週間は早く収穫されます。早熟なブドウは糖度が上がりやすく13度程度のアルコール度数の高いワインが出来ます。
メルロー種ワインの種類と選び方
メルローワインを選ぶ際に注目していただきたのが、まずは産地です。カベルネソーヴィニヨンが砂利質で水はけのよい土壌を好むのに対してメルロー種ブドウは水持ちがよく保湿性の高い粘土質の土壌を好みます。なので、より地質の影響を受けやすい品種と言えます。ここではワイン選びの参考になるようメルロー種の産地を中心に紹介します。
フランス産
シャトー ラ フルール ジョンケ
フランス産のメルローワインを選ぶならシャトーにこだわってみるのはいかがでしょうか。ボルドーの最高産地ポムロールにあるシャトー・ペトリュス、シャトー・マグドレーヌ、シャトー・ラフルールなど有名シャトーの他にシャトー・プピーユのような自然にこだわった個性派シャトーもあります。高級品種が多いシャトーにもお手軽ワインがあったりするので試してみるのも楽しいですよ。
メルローをベースにカベルネソーヴィニヨン・カルベネ・フランがブレンドされたワイン。2010年にマコンとボルドーで金賞を受けたワインです。アスパラの牛肉巻きなど野菜とお肉を組み合わせたお料理が合います。
チリ産
タラパカ グランレゼルバ メルロー
チリ産のメルローはカチャポアル・ヴァレーやマイポ・ヴァレー、クリコー・ヴァレーにマウレ・ヴァレーで作られています。品質が良く価格が手頃なチリワインはデイリーワインとして人気が高い産地です。
ボルドーのメルローを感じさせ、果実味が強く滑らかで渋みもマイルドなワイン。鴨など鳥系のお料理に合います。
アメリカ産
ベリンジャー・ヴィンヤーズ カリフォルニア・メルロー
アメリカ産のメルローはカリフォルニア州やワシントン州のブティックワイナリーで多く造られています味わいはフランス産のメルローの性質にアメリカらしい明るさが加わります。
ベリンジャーのメルローワインです。アメリカのワインらしくハンバーグやフライドチキンに合います。プラムの果実感にトーストのような樽風味が感じられデイリーワインとして満点な価格のワインです。
日本産
シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー
日本産のメルローワインは長野県塩尻市の桔梗ヶ丘を始め、北海道でも作られています。桔梗ヶ丘は日本では難しいと言われてた欧米種のブドウ作りに挑戦し、初めてメルロー種ワインを作りました。今ではワインバレーと呼ばれる産地です。
数年の瓶熟成を経て出荷されます。華やかな香りにしなやかでふくよかな味わいで旨みとのバランスが良いワインです。すきやきなど和食に合います。
メルロー種ワインおすすめランキングTOP12
12位 2011年シャトー・ラ・フルール・ペトリュス
ペトリュスのメルローとカベルネ・フランのブレンドワインです。ブラックベリーや木いちごの甘い香りにプラムやレッドカラントの果実味があり樹木のようなニュアンスを持つワインです。果実味とアロマが花開くペトリュスらしいワインです。
11位 モメサン・メルロー
フランスボルドーの名門ネゴシアンのワインで英国王室御用達です。で、この価格?と思いますが。飲んでみるとチョコっぽいプラムの香りとベルベットのような飲み口はこの価格にしてはなかなかのものです。
酸味と苦みが若干強めなので好みが分かれる商品だと思います。でも、私がいつも買い物をする大手スーパーでは入荷するとすぐに売れています。買い物をするときにワイン売り場をちょくちょくチェックするのですが、売り切れていることに気が付いてからはさらにチェックをかけていました。
この記事を書くために購入しようと思ったら売り切れていて、数日後に入荷したので購入したので安心していたら、次の日にはもう売り切れていました。赤身のステーキがお勧めです。
10位 コノスル・メルロー・レゼルバ
プラム・黒すぐりなどの黒果実とチョコやモカの香りで複雑で凝縮感のある味わいに滑らかなタンニンがマッチしたメルローです。フルボディなのでステーキでも脂が感じられるサーロインやバーベキューがお勧めです。
9位 ベリンジャー・ナパバレー・メルロー
ブドウの個性を生かすために収穫したロット毎に樽詰めして発酵させています。
その後、ブレンドしボトリングされます。ブラックベリーの香りにヴァニラ、ナツメグなどスパイスの香りが加わりシルクのような滑らかさと程よいタンニンを持つワインです。アメリカ産の明るさはハンバーグやフライドチキンに合います。
8位 ビーニャ・トレス・パラシオスメルロ・レゼルヴ
コスパ最高のチリワインです。ブドウのえぐみが出ないように造醸されたワインで、ブラックベリーの香りに青っぽい葉のニュアンスもあり果実味がしっかり味わえまろやかなタンニンとのバランスが良いワインです。また、複雑さも持ち合わせながら飲みやすいので多くの人から愛されています。赤ワインの定番ローストビーフなど肉料理に合うワインです。
7位 アルプスミュゼドヴァン 塩尻メルロー
日本産のメルローワインです。信州塩尻のメルロー種ブドウを使った辛口フルボディの赤ワイン。タンシチュー、回鍋肉などの肉料理に合います。国産ワインと言うとフランスワインとは違った特別感があります。
6位 イエローテール メルロー
オーストラリアのブランドイエローテールです。カベルネソーヴィニヨンやシラーズは地元のスーパーなどでもよく見かけますが、メルローはあまり見かけません。しかし、ネットで購入されている人が多く人気があります。
メルローにしては軽めでデイリーワインとして飲みやすくコスパも良いのが人気の理由だと思います。赤身の魚にも合うし、ハンバーグや肉の煮込み料理にも合います。
5位 播磨産メルロー2013
丹波と言えば黒豆ですが、こちらは丹羽産のメルローで樽熟成のワインです。照明器具メーカーの社長が日本の食材に合うワインをと作られたワインです。しゃぷしゃぶに合うらしいのですが、丹波と言えば牡丹鍋を思い浮かべるのでイノシシのお肉にも合いそうですね。
4位 プライベート・リザーヴ・ボルドー・ルージュ
高級ワインで有名なシャトー・ラフィット・ロートシルトがお手頃価格で提供しているのがこのワインです。滑らかでおだやかなタンニンとラズベリーやイチゴの爽やかな香りとカシスやブラックベリーの濃厚さにスパイスのニュアンス、デイリーワインなのにロートシルトの持つエレガントさがあります。さらにビンテージが2015年でこの価格は嬉しい限りです。メルローを試すなら一度は飲んでみたいワインです。お肉の煮込み料理のお供ににいかがでしょうか。
3位 シャトー・メルシャン・マリコ・ヴィンヤード・メルロー
シャトーメルシャンが上田市丸子で開園したマルコヴィンヤードです。6世紀に欽明天皇の皇子である鞠子皇子の領地であったことから名づけられたワインです。ステンレスタンクから樽でと熟成をし瓶詰されてからも熟成が期待できるワインです。凝縮感のある果実味としなやかなタンニン、樽由来のスパイス・チョコなどの香りが複雑に口の中で広がります。ビーフシチューなど煮込みとのコラボがお勧めです。
2位 シャトー・サミオン・ラランド・ド・ポムロール
古樹から取れたブドウを使い少量生産で丁寧に作られたワインです。ペトリュスのシャトーで造醸責任者を長年務めたジャン・クロード・ベルエ氏が手掛けたワインです。ガーネット色に輝きチェリーや木いちごなどが合わさった複雑な香りとシルクのように滑らかな口当たりでタンニンは柔らかな調和のとれたワインです。フィレなど脂身の少ない肉料理がお勧めです。
1位 シャトー・プーピュ プピーユ
2012年スイスで行われた大会でシャトー・ペトリュスと互角に戦った自然派ワイナリーです。ゴーミヨのボルドー特集で№1にも選ばれました。ビオロジックで作られたブドウが原材料です。フルボディでタンニンは柔らかく丸みのあるワインです。ナチュラルな食品と言われるとつい手に取ってしまう私が飲んでみたいワイン№1です。
メルローワインで優雅な晩酌のひと時を♡
二流ワインと言われていたメルローが突然スポットライト浴び、今ではブレンドワインを含めたメルローワインは人気の品種となりました。口に含んだ時の滑らかさと果実味はうっとりしてしまいます。
ブドウの産地、歴史、ドメーヌやシャトーなどワインについて知ると飲む楽しみに知る楽しみが加わり、選ぶ楽しみが増します。特にメルローワインには知る楽しみが深いように思います。目で舌で頭でメルローワインを楽しんでみましょう。