秋が深まってきました。ますます日本酒がおいしい季節になりました。今回、私は私イチオシの旨すぎる酒がたくさんある秋田の日本酒について皆さんにご紹介したいと思っています。
秋田といえば、日本酒。関東出身の私は、子どもの頃からなぜか勝手に「秋田=日本酒」のイメージを持っていました。
例えば、男鹿半島のなまはげが持っている桶。あの桶には絶対にお酒が入っているのだと思っていました。(なまはげの包丁は暖炉の前に長くいすぎて低温やけどをした怠け者のかさぶたを剥ぎ取るためのもので、桶はその剥がしたかさぶたを入れるためのものだと知ってびっくりしたところです。え~!怖いです…。お酒が良かった~。)
もう一つ、秋田県を代表する『釣りキチ三平』という漫画(とアニメ作品)の中で、釣り上げたイワナに熱燗を注いで骨酒にする場面がありました。あれはまだ酒の味を知らない子ども心にも、とてもおいしそうに見えたものでした。
時は流れ、気が付けば、いつしかキャンプなどをする大人になっていました。秋田県北部にはアウトドアをする人には特に憧れの世界遺産としても有名な白神山地があります。白神山地の他にも素晴らしい天然のブナの森が残っていて、設備の整った評判の良いキャンプ場があると聞き、数年前に私も、その場所にキャンプをしに訪れてみました。
私のキャンプの友といえば「地酒」です。地酒を飲むと、その土地のことを深く知ることができるように感じています。
秋田に訪れた際にも、レンタカーを借りて、すぐに向かったのは地酒専門店でした。たまたま訪れたそちらの地酒屋さんが素晴らしいお店で、秋田の地酒のことを親切にたくさん教えてくださいました。そこで、私は秋田の地酒たちと運命的な出逢いをしてしまったのでした。
信頼できると感じられた、そのお酒屋さんのご店主のお勧めに従って購入した秋田の地酒数本。短い滞在期間のキャンプでは買い過ぎたかなぁと思ったのですが、飲んでみると、どれも今までに出会ったことのないような旨い酒ばかり。すべて外れなしどころか超大当たり。幸せな驚きとともに、楽しい夜のひとときを過ごすことができました。
基本的には、あまりお酒に強くないこともあって、日本酒を飲むときには静かにゆっくりと味わうタイプの飲み方をするのですが、家族と一緒に飲んでいるとはいえ、秋田では気が付くとほんの2-3日で酒瓶数本があっという間に空になっており、キャンプ中にさらに何本か買い足すことになってしまいました。
たくさん飲んでかなり酔っぱらったりもしたのですが、気持ちよく酔うだけで、翌日には二日酔いなど一切せず!日本酒の質の高さも秋田の地酒には心の底から実感させられました。
キャンプから帰ってきても秋田の酒の味が忘れられず、恋しくなる一方。秋田の地酒を注文して、お取り寄せするほどに…。それからも秋田の地酒を時折見かけると喜々として家にお持ち帰りせずにはいられない体質に。
とにかく「秋田の日本酒は、何を飲んでもほぼ間違いない。」心からそうお勧めできるほどのおいしさがあります。
なぜ秋田の酒はうまいのか?
端的に言って、秋田県には涼しい気候・品質の高い酒米・雪解け水(湧水)・伝統の技を持つ杜氏(=山内(さんない)杜氏)の存在という、おいしい日本酒を醸すことのできる条件が揃っています。
歴史的側面としては、秋田県は鉱山労働者からの需要により酒造業が盛んになったのだそうです。
秋田には多くの金山や銀山、銅山があり、江戸時代に入って(1606年)に院内で銀が発見されると、全国から鉱山技術者などの多くの労働者たちが集まり、大きな町に発展しましたが娯楽の少ない場所では彼らにとって酒が欠かせないアイテムとなったようです。
天和元年(1618年)に藩が幕府に提出した領内の酒造業に関する口上書には、藩内には746軒の酒屋があり、産業的にも経済的にもなくすことのできないものだったようです。幕府から酒の減産令が出されたときにも、秋田の藩では酒造業の保護策が取られるほどだったということで、酒文化が定着していたことが伺えます。
明治時代の中期以降には秋田の酒造業の近代化がすすみ、鉄道の開通とともに県外(東北各地や北海道)にも酒が出荷されるようになりました。大正2年(1913年)の第4回全国清酒品評会では、秋田の酒8種類が優等賞を受賞しています。
酒蔵もこうした流れから、ますます酒質の向上を意識し、品評会での受賞を重ねるようになりました。そうすることで全国的に秋田の酒が認められるようになりました。
香り良く、味に膨らみのある吟醸用の新しい酵母「秋田流・花酵母」が開発され、平成3年(1991年)には全国新酒鑑評会で蔵元25社で金賞26という好成績をおさめ、都道府県別で全国1位に輝くなど高い評価を受けています。なお「秋田流・花酵母」は現在「醸造きょうかい15号酵母」として全国に流通しているそうです。
秋田では米の新品種開発等研究の取り組みも熱心に行われています。
「あきたこまち」は秋田県を代表する食用米として大変有名ですが、酒造りに適したお米=酒造好適米(酒米)の「美山錦」や「吟の精」なども秋田県内で栽培されています。
各地域の研究会では栽培適地を厳選し、さらに品質の安定をめざして契約栽培を実施するなど、良質の酒米作りをされています。
良質の酒米は酒造りには欠かせないと思うのですが、こういった努力もあって秋田県は清酒出荷量は全国4位、酒米生産量は全国5位ということです。
酒造りについては、地元の杜氏集団、山内(さんない)杜氏によって秋田独自の酒造りの技が継承されています。
基本的に秋田では寒冷多雪の気候を生かした「寒仕込み」でおいしい酒を醸していると思われます。
ただし、現在は杜氏にすべてを任せるという酒造りだけではないNEXT5などの若手の蔵元たちの技術交流を行うグループも生まれるなど、新たな挑戦によって秋田の地酒はどんどん進化しています。
秋田のお酒の特徴としては、もともとは濃醇で甘口のお酒が主流だったそうなのですが、このところは若手杜氏を中心にして日本酒と言われなければ日本酒とは分からないほどの、まるで「シャンパン」のような日本酒を造る蔵もあるように、味は非常に多様化しているように思います。この新たな酒造りの動きは日本酒の古くからの概念を打ち破る先鋭的な流れのようにも私は感じています。
秋田の日本酒の選び方のポイント
秋田のお酒を全把握できているわけではありませんので、私が今の時点で思うのは…秋田の酒には流行の味に乗ってみたい人向けの日本酒(例:NEXT5の蔵が作るようなタイプのもの)と飲み飽きない日本酒を飲みたい人向けの日本酒があるかなと思っています。豊富な選択肢が秋田の酒にはあるところも大きな魅力のように感じます。
(NEXT5=白瀑・山本、ゆきの美人、春霞、一白水成、新政を作っている5つの蔵元の若手中心の技術研鑽グループで2010年に始まった取り組みです。研究だけではなく、共同醸造も行います。
杜氏に酒造りを全てお任せするのではなく、蔵元自らが酒質に責任を持って醸造にあたっている蔵ばかりです。秋田のみならず、このNEXT5の取り組みは日本酒業界のこれからの可能性を感じさせるような面白いものだと私は感じています)
日本酒全般の選び方に共通するのですが第一にお勧めなのは純米酒(ラベルに「純米」と書いてあるもの)を選ぶこと。
個人的には大手の酒造メーカーのものよりは小さな蔵の日本酒のほうが丁寧な造りとチャレンジ精神が高いところが多いように思われるので、どちらかというとお勧めです。
また、買う場所のポイントとして日本酒を買う場合にはできるだけ冷蔵庫管理などをしっかりと行っていて日本酒をその銘柄に適した温度管理で販売している地酒屋さんで買うことをオススメします。
地酒屋さんで特にお客さんの好みに応じた酒を教えてくれるような場所を見つけることができればおいしい銘柄のお酒をゲットしたも同然です。
とにかく、まずは飲んでみることです。そして自分の好みに合わなければ違う蔵のものを、気に入ったらその蔵のまた違う銘柄を飲んでみることをお勧めします。秋田県の日本酒については外れが少ないので、怖がらずにまずは一本飲み勧めてみることをオススメします。
一本おいしいものに出会えると、芋づる式においしいお酒に出会うことができる、それが秋田の日本酒です。
秋田の日本酒おすすめ16選
さてここからは実際に私が飲んでおいしかった日本酒を中心に、皆様に秋田の地酒をご紹介してきたいと思います!順序関係なく、すべてイチオシのおいしい日本酒です。
日ノ丸醸造株式会社 まんさくの花 杜氏選抜純米吟醸生原酒 ピンクラベル
出典: Amazon.co.jp
迷ったらこれを選べばいい
秋田県横手市にある日ノ丸醸造株式会社さんの出している日本酒の銘柄「まんさくの花」。
まんさくの花自体にも様々な種類が出ていて、そのどれもがすべて飲みたくなるほどのおいしさのある実力派の日本酒。
全体としてやわらかく、ふくよかな味わいの優しいお酒。食前・食中・食後、どのタイミングで飲んでもおいしくて驚きます。我が家では今年の夏はまんさくの花の限定流通品、愛山・亀の尾仕込を入手することができ、飲んでみましたが、とんでもなくおいしくて感動の味わいでした。
ラベルも蔵元で考えて作っておられるそうですが、蔵元も楽しみながら造っていらっしゃるのが伝わってきます。飲み手ももちろん楽しく飲むことのできる素晴らしい日本酒です。
今回ご紹介している商品については、私もまだ飲んだことのない銘柄なのですが、是非飲んでみたい「杜氏選抜純米吟醸生原酒 ピンクラベル」。手書きのラベルに愛情がこもっています。
浅舞酒造株式会社 夏田冬蔵 なつたふゆぞう
出典: Amazon.co.jp
これぞ、日本酒の中の日本酒
「天の戸(あまのと)」で有名な浅舞酒造株式会社さんの出しているお酒、「夏田冬蔵」シリーズ(銘柄)。
横手盆地の真ん中に位置する場所に蔵があり、仕込み水には琵琶沼寒泉という湧水が使われています。酒米についても蔵から五キロ内に収穫されたものを使い、しかも純米酒だけを仕込んでいます。それを聞いただけでも、もう出されている日本酒のおいしさが約束されたようなものなのですが、飲んでみたら、そのおいしさに度肝を抜かれます。
「夏田冬蔵」とは天の戸の森谷杜氏のペンネームでもあるそうなのですが、文字通り、夏には田んぼで米を育てそして冬には蔵にこもり酒を造る。そういう人々の姿勢が表れた銘柄名ともなっています。とにかく気合の入れ方が半端じゃないお酒。そのように私は受け取りました。
夏田冬蔵の名のついた銘柄については浅舞酒造さんが出す酒の中でも特に高品質、小ロット生産の挑戦が詰まった酒ばかり。見つけたら即買いをお勧めします。
とにかくうまいので、本当に見かけたら家に連れて帰ることをお勧めします。
秋田清酒株式会社 やまとしずく
出典: Amazon.co.jp
万人受けの味わい!いつ飲んでも美味
いろんなお酒を飲んでみたいために、我が家では同じ銘柄を繰り返すというのはなかなかないことなのですが、こちらの「やまとしずく」についてはリピートして飲んでいます。秋田清酒株式会社さんの酒、やまとしずく。
最初、ラベルを見た時にはなんて書いてあるのか分かりませんでしたが、個性的なラベルに一目ぼれし、旅行から帰った後にお取り寄せして飲んでみました。(なお、やまとしずくの銘柄名は、蔵創業時の社名「ヤマト酒造店」に由来するそうです)写真で載せているのは「やまとしずく 純米吟醸 1800ml」 です。
特長としては一言で言っても「どんな料理にも合う」「いつ飲んでもうまい!」これに尽きます。オールマイティな力があって、誰にでも好かれそうな、適度な香りと酸味、そして旨味があっておいしい。誰が選んでも、「間違いない」日本酒。
やまとしずくの一本目としてはやはり「やまとしずく純米吟醸」がお勧めです。勿論、やまとしずくの他の種類についても是非頂いてみたいと思っています。
山本合名会社 山本
出典: Amazon.co.jp
いろんなバージョンが面白い
この純米吟醸「山本(ピュアブラック)」についても気に入ってリピートした銘柄です。山本合名会社さんが出されている日本酒です。平成17年に杜氏制を廃止し、蔵元である山本さん自らが酒造りを始めた際に立ち上げたセカンドブランドということです。
ピュアブラックのほかに、ミッドナイトブルー、ストロベリーレッド、ドキドキ、うきうき、備前雄町(今年で終売)、亀の尾などなど様々な「山本」が出ています。
白神山地の天然湧水が仕込み水として使われ、使用する米も自社で無農薬・有機栽培するというこだわり。蔵内にはビートルズが流れているとか…。蔵見学ができないそうなのですが、私としては是非とも見に行ってみたい蔵です。(注:白瀑(しらたき)というお酒でもともとは有名な蔵さんです)
バナナの香りを感じるだとか、香りの評価も高い山本ピュアブラック。山本の初めの一本はやはりこちらから!
阿桜酒造株式会社 阿櫻 あざくら
出典: 楽天市場
ファンを大事にする日本酒
まさに「ザ・秋田」な酒造りをしている、秋田県横手市にある阿桜酒造株式会社さん。長期低温発酵の秋田流寒仕込みの酒造りと秋田の山内杜氏 照井俊男さんと蔵人が中心となって醸す日本酒。秋田の地元米のみで醸しているのも特長の一つ。質実剛健な酒造りとともに、「阿櫻會」というファンクラブを立ち上げたり、インスタを使った情報発信をこまめに行う営業さんがいたりと、現代的な取り組みもしっかりされています。
お酒もとびきりおいしく、私も大ファンの阿櫻のお酒。ファンクラブ会員の証しである阿櫻の日本酒グラスをほぼ毎晩愛用しています。阿櫻のことを書いていたら、無性に飲みたくなってまいりました!
まだ阿櫻のお酒については銘柄をいろいろと飲み比べていないので味については解説が詳しくできないのですが、どちらかというと「酸」を大事にお酒を造っているように思います。
いろいろな阿櫻が本当にたくさん販売されているのですが、どのお酒も間違いなくおいしそうだと思わせることのできる信頼と実力のある阿櫻ブランド。ひやおろしも是非飲んでみたいタイプです。
加えて、個人的に以前からずっと気になっている阿櫻のりんごちゃんもここでご紹介。
今度見つけたら絶対に家に連れて帰ろうと決めている商品です。
阿櫻 あざくら りんごちゃん
出典: 楽天市場
秋田醸造株式会社 ゆきのびじん
出典: 楽天市場
辛口でシュワッとした爽快感が魅力
このお酒を紹介された時に、「マンションの一室で作っている」と聞いて度肝を抜かされた「ゆきの美人」。秋田市にある秋田醸造株式会社さんが醸しているお酒です。平成12年から全ての酒造りを小容量の大吟醸用タンクでされています。通年で低温管理貯蔵出来る設備を整えておられ、要するに年中「新酒」が味わえる酒蔵ということです。
糖類、酸味料の使用を全て廃止されていて、秋田の伝統に磨かれた手法・素材と手造りにこだわった純米酒を中心に製造しているそうです。小林忠彦さんが社長兼杜氏をされている蔵元です。
仕込み水は秋田県内でも屈指の軟水である、秋田市太平山麓の湧き水を使用しています。蔵のある秋田市から往復2時間かけて汲みに行っているそうです。(時折熊にも遭遇されるそうです…命がけ!)
飲むとシュワっとした炭酸感があり、後味のキレは抜群です。少々の苦味の強さはあるものの、キリっとした味わいで、すっきり飲める日本酒という印象でした。食前酒としてお勧めしたいと思いました。和食以外にフレンチにも合うのではないかと思いました。
商品紹介としては一升瓶でご紹介していますが、新鮮さを味わうには720mlの4合瓶がお勧めです。爽やかで切れ味の良い日本酒。すっきりとしたおいしさがあります。
株式会社 齋彌酒造店 雪の茅舎 ぼうしゃ
長年のファンが多い
写真でご紹介しているのは雪の茅舎でもレアな純米古酒「隠し酒」。燗にして飲むと最高のうまさでした。
由利本荘市にある株式会社 齋彌酒造店さんのお酒、雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)。雪の茅舎については比較的秋田の酒の中でもメジャーな銘柄ではないかと思っています。秋田県内のスーパーではこちらの酒蔵さんのおいしい酒粕が気軽に入手できたのも記憶に残っています。
こちらの蔵は秋田伝統の酒造りをしているのが特長です。杜氏(高橋藤一さん)をはじめとする蔵人が、自ら酒造好適米(秋田酒こまち)を栽培されていて、そのお米を使った酒造りをされています。
「酵母の自家培養」や「山廃の復活」もされるなど、伝統と新しい技術どちらも大事にしているように感じられます。ある一定程度の高いレベルの酒を見込める雪の茅舎ブランド。選んで間違いのない銘柄の一つだと思います。
特に雪の茅舎さんの酒で飲んでみたいのが「純米吟醸 美酒の設計」。酒仲間にとても評判が高く、いつか飲んでみたいと思っているお酒です。たまにプレミアム価格で売られていることがありますが、一升瓶で3,780円ほどが適正価格での販売価格と思われます。
福禄寿酒造株式会社 一白水成 いっぱくすいせい
出典: 楽天市場
秋田の酒で忘れてはいけないブランド
福禄寿酒造株式会社さんが醸している「一白水成」。秋田山内杜氏の一関仁さんが中心となってお酒を造っているそうです。銘柄の由来は「白」い米と「水」から「成」る「一」番旨い酒=「一白水成」ということで、その銘柄名からも出している酒に対する強い自信を感じます。
純米酒クラス以上の特定名称酒については瓶火入れを徹底し、-5℃~5℃の温度で冷蔵庫貯蔵、酒屋に輸送する際にもクール便を使用するなど酒質を消費者の手元に送るまで低下させないように気を配っている蔵元です。
一白水成(いっぱくすいせい) 特別純米酒 (いっぱく白ラベル)。特別純米とのことですが、限りなく純米吟醸に近いレベルの酒。コスパが良くておいしい酒を探している人にはピッタリの一本。
新政酒造株式会社 新政 No.6 ナンバーシックス
出典: Amazon.co.jp
パーティの乾杯酒にピッタリ
酒ファンには非常に有名な新政酒造株式会社さんの醸す酒。秋田県産米のみを使用し、この新政酒造さんの蔵で昭和5年(1930年)に採取された「きょうかい6号」(六号酵母)のみを使用した酒造りをされています。ラベル記載義務のない添加物についても一切使用せず、酒質を落とさないためにほぼ4合瓶のみの造りをしているそうです。
2008~09年度醸造(平成20酒造年度)から杜氏ではなく、若手の社員醸造に変更し、「新しい」感覚の酒造りをしているという印象を受けています。酵母無添加での酒造りをしていかれるということで、どのような酒造りになっていくのか、頭の片隅に置いている蔵の一つです。
味わいとしては、毎日飲みたい酒というよりはパーティなどで乾杯のとき=食前に飲んで、日本酒というと訝しがるような日本酒をあまり飲んだことのない人に日本酒のインパクトを伝えるために最適の銘柄のように感じています。
この新政酒造さんの出している日本酒についてはプレミアム価格で売られているところが多いのですが、適正価格できちんと日本酒を大事に売っているような酒屋さんで購入することを強くお勧めします。
ご紹介したかった「新政No.6(ナンバーシックス)R-typeきもと造り純米生酒」については本来の定価は1,550円(税込)です。
日ノ丸醸造株式会社 うまからまんさく
出典: Amazon.co.jp
食中酒としても最高
すでに1選目でご紹介している日ノ丸醸造株式会社さんの別銘柄「うまからまんさく」。日本酒というと、やたら「辛口」がいいとしつこく言ってくる人に出会ったことはないでしょうか?飲んでみると、米の旨味を感じられず、私としては、このどこに魅力が?と首をひねることも正直あったのですが…うまからまんさくに出会って、旨みのあるおいしい辛口、「旨辛口」なんていう素晴らしい味わいがあることに気が付かされてしまったのでした。
辛口好きの人にも、辛口は苦手だという方にも超お勧めの日本酒!それが「うまからまんさく」です。
おいしい日本酒は、一言で辛い辛くないでは判断できない味わいがあることをうまからまんさくは教えてくれます。
日の丸醸造株式会社 まんさくの花 特別純米 うまから万んさく
出典: Amazon.co.jp
辛口とは単に辛いだけのことを言うのではないと教えてくれた酒
秋田県横手市にある日の丸醸造株式会社さんの「まんさくの花」。この銘柄と出会えたことは私の日本酒飲み人生にとって最高の出会いの一つと言えるものでした。
食中酒としてどんな料理にも合うように設計されているうえに、適度な酸味もあり、単に辛いだけではなくしっかりとした米の旨味ものっています。まさに「うま・から」が実現しています。
まんさくの花の超人気定番酒です。杜氏が育てた「秋の精」を使用し、純米酒にもかかわらず純米吟醸規格(60%)を超える55%まで精米した上で、旨みを意識した麹づくりをして仕込みを行っているそうです。最高の日本酒の一つです。
阿櫻酒造株式会社 寒仕込純米・阿櫻・超旨辛口
出典: Amazon.co.jp
秋田を代表する酒造メーカーが造る一本
キレのある辛口ということなのですが、お米の旨味はしっかりとある食中酒に最適の日本酒です。
味が濃いめの肉料理や中華料理にも良く合い、料理を引き立ててくれます。また、温度帯も常温(冷や)、ぬる燗といろいろと楽しめる懐の深さがあり、いろいろな温度を試してみるのも面白いと思います。阿櫻酒造の丁寧な造りをぜひ体験していただき、阿櫻酒造の他の銘柄も試してみてほしいと思います。
福禄寿酒造株式会社 一白水成 特別純米
出典: Amazon.co.jp
秋田の酒で忘れてはいけないブランド
福禄寿酒造株式会社さんが醸している「一白水成」。秋田山内杜氏の一関仁さんが中心となってお酒を造っているそうです。銘柄の由来は「白」い米と「水」から「成」る「一」番旨い酒=「一白水成」ということで、その銘柄名からも出している酒に対する強い自信を感じます。
純米酒クラス以上の特定名称酒については瓶火入れを徹底し、-5℃~5℃の温度で冷蔵庫貯蔵、酒屋に輸送する際にもクール便を使用するなど酒質を消費者の手元に送るまで低下させないように気を配っている蔵元です。ちなみに特別純米とのことですが、限りなく純米吟醸に近いレベルの酒。コスパが良くておいしい酒を探している人にはピッタリの一本。
浅舞酒造株式会社 天の戸 美稲(うましね) 特別純米酒
出典: Amazon.co.jp
米を大事に造る酒
秋田の酒、いろいろな個性がありますが、こちらの天の戸には特に地元の田んぼや農家さん、そしてその農家さんが育ててくださっているお米を大事に大事にして、酒を造られている蔵という印象があります。
こちらの日本酒、ラベルの裏面には米作りに携わった米農家さんの写真とお名前、そしてメッセージが表示されています。愛情とこだわりを感じさせられます。
まさに秋田の地酒というどっしりとした味わいのある日本酒です。秋田の酒を飲む上で外せない銘柄の一つ。
山本合名会社 山本 秋田ロイヤルストレートフラッシュ 純米大吟醸
出典: Amazon.co.jp
面白い挑戦酒!
だんだん日本酒を飲みなれてくると、酒米違い、酵母違い、など飲み方のバリエーションがあることに気が付いてきます。そんな楽しみを味わうのにも山本はいろいろな楽しみを提供していて、例えば酒米と仕込み方は同じにして、6号酵母と7号酵母(酵母違い)の飲み比べということができる製品を造ってくださっるような面白い取り組みをいろいろとされています。
さて、そんな面白い酒造りをされている山本合名会社から出ている、こちらの製品はなんと、秋田県産の五種類の酒米と秋田の酵母五種類を使って作られた意欲作です。
そんな造りをしている日本酒はめったにありません。もしかしたら唯一かもしれません。
秋田最強の日本酒を目指してロイヤルストレートフラッシュと命名されたそうです。この説明を見て面白いと感じられた方はぜひぜひ飲んでみてください。
地酒から秋田の魅力を感じてみては?
ご紹介させていただいてきたように、秋田の日本酒は日本酒初心者から、日本酒を飲みなれている方まで幅広い層が楽しむことのできる、個性があって、しかもおいしいお酒がたくさんあります。私もまだまだ秋田の日本酒についてはいろいろな蔵のものを飲んでみたいと思っています。
今回は秋田の日本酒についてご紹介させていただきましたが、私自身が他に地域として最近注目している場所としては、滋賀県、新潟県、奈良県、山形県、高知県などがあり、ご縁があればまた是非そちらの県の日本酒についてもご紹介させていただきたいなぁと思っています。
日本酒はその土地の水、風土、米、食文化などと絡み合い、またお互いが影響しつつ発展してきたものです。そして蔵を支えているのはやはり酒屋さんなんだなぁと秋田を訪れてから特に感じるようになりました。
日本酒文化が衰退することがないよう、私も一人の飲み手として蔵や酒屋さんの頑張りを応援したいと思っています。まずは、是非皆様においしい秋田の日本酒を飲んでみていただきたいと思います。
皆さんにとっての素敵な日本酒の一本に出会えますように願っています。